クリーニング

  • 2015年09月21日

引っ越したばかりの頃。
家から近いクリーニング店を探しながら散歩していました。
ところが、なかなか見つけられない。
どうしたもんかと思いながらも歩き続けていると・・・ありました。
多分、クリーニング店っぽい。
小さな飲食店に囲まれた、かなり年季の入った家屋の一階が、クリーニング店をイメージさせるイラスト入りの看板を出しています。
しばし観察。
人差し指で押したら、ゆっくりと倒れてしまいそうなほど、傷みの激しい外観。
百歩譲って古くても構いませんが、窓ガラスが汚れているのはアウトでは?
清潔感を演出する気はさらさらないようです。
kuri-ningu
曇った窓ガラス越しに中を窺うと、客から預かったと見える服がポールにかかっています。
現役で商売はしている様子。
ふと、左の足元に置かれたアクリル板に目を向けると・・・料金表でした。
ワイシャツが〇〇円、セーターが〇〇円とアイテム別に金額が書かれています。
料金表を作成した後、価格を変更したのでしょう。
金額のところには紙が貼られ、マジックペンで手書きの数字が書かれています。
と、一ヵ所で目が釘付けに。
パンタロンが〇〇円と書いてある。
パ、パンタロンって・・・いったいいつからここにある料金表?
パンタロンという単語は私が子どもの頃には耳にしていましたが、中学生になる頃には世間から消えていったもの。
当時は平成の時代になって二十年余り。
クリーニング店の料金表で、パンタロンの文字と再会する日が来ようとは思っていませんでした。

この理由を想像してみると・・・料金表なんて本来の仕事とは別のことには金なんてかけねぇよ、俺は。客の服を綺麗にすることだけが、俺の仕事なんだからさ、そこで判断してくれよ。ぐだぐだ言うんじゃねぇ、仕上がり見てから文句言えってんだ・・・なんて理由があるのかも。
下町のオヤジ風にしてみましたが、そういう強烈なキャラの上にのせないと、この考え方はしっくりしないもんで。
別の理由も推理してみると・・・料金表を作り直すにはお金がかかるし、また値段を変えるかもしれないし。だったらその都度紙を貼ればいいわね。あら、あたしったら頭がいいわ・・・なんてずぼらが理由なのかも。
こちらはマイペースな奥さん風にしてみました。

それじゃ、通りがかりの私はこれを見てどう感じたかというと・・・古くからクリーニング業を営んでいるようだけれど、最近の素材に対応できるかは怪しいなぁと。
料金表とクリーニングの腕前に、関係性はまったくないんですけどね。

結局、この店に出すことはなく、別のクリーニングチェーンの店舗から集配に来てもらい、仕上がりも届けて貰うように。

先週、件の店の前を通ったら、汚れた窓ガラスに小さな貼り紙が。
「店を閉めました。服の引き取りの方は連絡してください」と書いてありました。
どこに連絡すればいいのか、その点には一切触れていないあたりが、この店らしくて、ちょっとウケてしまいました。

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