アコーディオン

  • 2017年03月16日

アコーディオンを弾くのが趣味の友人がいます。
仮にA子としておきましょう。
趣味がアコーディオン演奏だと聞いた時、誰しもが思うのではないでしょうか。
たくさんある楽器の中で、何故アコーディオンを選んだのかということ。

たとえば競歩をしていると聞いたら、やはりどうしてたくさんあるスポーツの中で競歩を選んだのかという、それを選ぶまでのストーリーを是非とも知りたいと思うのと一緒ですね。

A子によれば高校の音楽の授業で、たまたま割り当てられたのがアコーディオンだったとのこと。
そこでちょろっと習って弾いた程度だったそうです。
ところが就職試験の時、特技の欄になにも書くことがなく焦ったA子。
アコーディオン演奏と書いてしまった。

これは面接官にインパクトを与えたようで。
無事内定を貰い、入社したところ「A子さんにアコーディオン演奏を披露して貰いたいなぁ」と上司から言われてしまった。
「あれは嘘でーす」とは言えない。

追い詰められたA子はアコーディオンをレンタルして猛練習。
新入社員歓迎会の席でアコーディオンを演奏すると、拍手大喝采を得て、ほっと胸を撫で下ろしたそうです。
翌日には歓迎会に出席していなかった他部署の人から「あなたがアコーディオンの?」と言われまくり。
そして名前とはまったく関係ないのに、ニックネームが「アコ」となったそうです。

こうなったら本当に趣味にしてしまおうとA子は考えました。
猛練習していた時、演奏している時、拍手大喝采を得た時、とても楽しかったことに気付いたのだとか。

そしてアコーディオンを購入し、教室を探して習い始めました。
2年経ち教室は卒業。
その後は休日に好きな曲を弾いて楽しむようになったということです。

A子の結婚式の披露宴で、彼女のアコーディオン演奏がありました。
ドレス姿の新婦がアコーディオンを弾く姿に、口あんぐりでしたが、演奏は見事。
場内は大変盛り上がりました。

スタートは嘘でしたが、本当に趣味となり特技としたA子に脱帽です。

外国語

  • 2017年03月13日

外国語を勉強するのが好きな友人がいます。
仮にA子としておきましょう。
A子と久しぶりに会うと、まず「今なに語を勉強してるの?」と聞きます。
それぐらい常に外国語を勉強している。
ドイツ語、イタリア語、スペイン語、中国語・・・ほかにもあったかも。

ある日、そうだ、ドイツ語を習おうと思うらしいのです。
それでA子はどうするかというと、学校の選択に入る。
自宅からのアクセスがよくて、希望する時間帯のレッスンがあって、評判がいいところを探す。
そして通い出す。
ここまでが非常に短い。
あっという間に調べて決断しちゃう。
新しいことを始める前には「やっぱりどうしよっかなぁ」とか「続けられなかったら授業料が勿体ないしなぁ」といった誰しもが立ち止まりがちなポイントがあると思うのですが、A子はそういうものをひとっ跳びする。

そして週に1回通い出す。
1年もする頃には、そこそこ喋れるようになっているっぽい。
「ぽい」というのは、私にはA子の力量がわからないから。
やがて度胸試しだとか言って、その言葉を使っている国に旅行に行く。

帰って来ると、その旅行中に撮ったという画像を大量に見させられる。
これ、見させられる方は結構メンドー臭い。
できれば編集して、5分ぐらいにまとめて欲しい。
300枚を超える写真を見るのは、友情があっても結構苦行。
芸術として見られるくらいの素敵な写真ってわけじゃない。
観光地でのピースポーズや、テーブルに並ぶ料理を撮った写真ばかりを300枚はキツイ。

しばらくするとA子には新しい友人ができている。
習っていた言葉を母国語とする友人。
どうやって知り合うのか不思議なのですが、友人ができている。
そしてホームパーティーに誘われたり誘ったりする仲になっている。
誘われた私がA子の家に行くと、グローバルなことになっていたりする。

でもA子はこれで満足しない。
ある日、そうだ、イタリア語を習おうと思う。
そしてドイツ語を習おうと思った時からの出来事を、イタリア語バージョンで繰り返す。
私はやがて訪れるであろうイタリア旅行時の大量の写真を見る苦行に思いを馳せて、吐息をこぼす。
予想通りその日はやってきました。

こうしてたくさんの言葉を学習していくA子は、出身国も年齢も様々な友人をたくさん作り続けています。
こうした生活がA子を変えたのか、それとも元々だったのかはわかりませんが、彼女はとても人生を楽しんでいます。
数人集まると愚痴ったり、人生を呪ったりする話が出るのが多いもんですが、A子からそうした類の話が出たことはありません。
毎日が凄く楽しそうでキラキラしてる。
友人らからたくさんの刺激を受けているせいでしょうか。
人としての魅力をどんどん増していくA子。
恰好いいと思いますし、憧れちゃいます。
素敵な友人がいてよかったと思います。
大量の写真を見させられることを除けば。

事務仕事

  • 2017年03月09日

一人で仕事をしています。
秘書もスタッフもいないので、すべて自分でこなさなくてはいけません。
結構な量の事務仕事があります。
それは確認して返事をしなくてはいけないものや、書類にサインをして提出しなくてはいけないものなど色々。
時にはなんの連絡もない人に、例の件はどうなっているのかと催促したり、これこれをお願いしたいと発注したり・・・なんだかんだとあります。

気が付けば、事務仕事に忙殺されまったく執筆しなかった・・・なんて日も。
執筆時間がゼロだった日の心のうちを、どう表現したらいいのか。
凄く不安になります。
焦りも浮かんできます。
たった一日仕事が遅れたからといって、どうってことないと頭ではわかっているのですが、気持ちはそうは思わない。

アスリートが練習をサボった日、私と同じような気持ちになるんじゃないでしょうか。
三年後に振り返れば、たった一日の休みは大勢に影響はなかったとわかるのかもしれませんが、その時にはこれがなにかの差になって、結果として現れるのではないかと考えてしまうのです。
敢えて言えば、すんごく嫌な気分。

解決策はないもんかと考えた結果、時間割を作成することに。
メールチェックをする時間を、1日の一定の時間に1時間と決めました。
その時間にだけメールを開き優先順位を付けて、返信していきます。
1時間経った時まだ返信できていないメールについては、緊急性のあるものではないことを確認した後、翌日のメールチェックタイムに持ち越しとします。
こういうタイムリミットを自ら作ると、そういう制約がない時よりちゃっちゃとやろうという意識が働くのか、スピードが上がります。

こうして時間割を作ることで、事務仕事が執筆の時間を侵食する事態は避けられるようになりました。
執筆の時間を確保することができたのです。
これは精神的に落ち着けます。
だからといってすいすいと執筆が捗るとはいかないのですが、とにもかくにもパソコンの前に座り、物語の世界にいる時間をきっちりと取れるのは嬉しいことです。

そして改めて気付かされました。
私は小説を書くことが好きなのだと。

ペット

  • 2017年03月06日

昔々猫を飼っていたそうです。
そうですと伝聞形にするほど、まだ私が幼い頃の話です。
唯一覚えているのはその猫の重さ。
私が寝ていると、何故か猫はその掛け布団に上りたがった。
そして私の掛け布団の上でくつろぐのです。
幼い私は「お、重い」と苦しみを感じながら起きる。
すると猫と目が合う。
こうした記憶が残っています。

元々は家にいたネズミを捕って貰おうと買い始めたらしいのですが、いざ対面すると、猫の方が逃げ出したという逸話を残しています。

小学生から中学生にかけて、インコを飼っていました。
雛から育てたのですっかり懐いていて、自宅内で放し飼い状態でした。
ペン先が好きで茶の間で字を書いていると、そのペン先を執拗に追いかけてきました。
すっかり邪魔をされて字が書けないぐらい。
なにか書きたい時は、インコを籠に入れてからにするか、手でペン先を隠すかのどちらかにするしかありませんでした。

ペン先がなんといっても一番でしたが、傾向として光る物が好きだったのかもしれません。
飴の包み紙も好きでした。
裏の銀色の部分がお気に召したようで、渡すと狂喜乱舞。
その銀色の包み紙の上でダンスダンス。
自分が包み紙に載っているのに端を引っ張るもんだから、足元が不安定になり、ずるっと滑ってコケるという一羽コントを披露してくれました。

そのインコが風邪を引いたことがありました。
クシュンと人間と同じようなくしゃみを繰り返すので、もしかしてと病院に連れて行ったら、風邪薬をくれました。
それが粉薬でどうやら苦い模様。
粉薬を溶かした水を飲もうとしない。
しょうがないので、首根っこを摑み水入れに嘴を付けるのですが、羽をバタバタさせて必死で抵抗してくる。
そうしている間にもクシュンを連発している。

どうしたらいいのかと考えました。
これはやはり、好きな物に夢中になっている時しかないだろうとの結論に。
テーブルに銀色の包み紙を置き、インコを呼び寄せます。
早速インコは喜び包み紙の上でダンスダンス。
そこへ銀色のスプーンを差し出します。
そこには粉薬を溶かした水が載っています。
光ってる物が2つも出てきた興奮からか、喜んでスプーンをつつき出しました。
が、苦みに気付いて体を固まらせる。
ここでただの水を乗せたスプーンを反対方向から差し出す。
用心したインコが後ずさりする。
でも強引に嘴に近づけると、恐々とながらもつつき出す。
なんだ、ただの水かと安心して飲む。
油断したところで、粉薬を溶かした水を載せた方のスプーンをもう一度差し出すと、インコはごくんとそれを飲んでしまう。
あっという顔をするインコ。
私は銀色の包み紙を少し引っ張り、ほら、あなたは今幸せの真っただ中にいるのだよと思い出させてあげる。
するとインコは、そうだったそうだったとダンスを再開する。
これを繰り返して、なんとか風邪薬を飲ませることに成功。
2、3日後にはくしゃみをしなくなりました。
インコとの薬飲ませ対決は、私の勝利で終わったのでした。

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