薬を飲むのは

  • 2017年05月11日

薬を飲むのが嫌いな子どもでした。
昔は子ども用の薬としてシロップタイプがありました。
これがやたら甘いわ、不味いわで、ダーと吐き出していました。
錠剤タイプの薬も同様にダーと吐き出して抵抗していたそうです。
小学校に上がる前の5歳頃の話なので、私は覚えていません。

母親が医者に「どうやっても薬を飲んでくれなくて困っています」と相談したそうです。
すると医者は私に向かい「薬を飲んでくれないなら、注射をするしかないなぁ」と脅してきた。
恐らく注射は嫌だろうから、こう脅せば薬を飲むようになるだろうとの作戦でしょう。
ところが私は無言で自ら袖を捲り、二の腕を医者に突き出したそうです。
だったら注射しろってことでしょうね。
なんちゅう5歳。
というか、そこまで薬が嫌だったんでしょうね。

そして齢を重ねて、大人となった今の私はどうかというと・・・未だに苦手なんです。
友人が4、5個の薬をぽんと口に放り、僅か3秒ほどで飲む下すのを見る度、すげぇと尊敬します。
私には無理。
「なにが無理なのよ?」とよく聞かれます。
まず錠剤を見つめます。
するとこの大きさのモノが喉を通れるのか? との疑問が心に。
いつも食事の時、その何十倍もの大きさのを飲み下してるじゃないのと、脳が冷静にツッコんでくれます。
そこで薬を口に入れて水を追加する。
で、飲む下そうとする。
ところが喉と舌が拒否反応を示す。
奥へ薬を送り込みたくない喉と舌が、口の中で薬の行く手を阻む。
喉と舌は心の支配下にあるのです。
脳が早く飲みせと命令を出すのですが、心の配下である喉と舌は徹底抗戦をしてくる。
そうやって口の中で戦いが行われているうちに、薬が溶けてきてしまう。
薬は大抵苦いし不味い。
早く飲み込まなくちゃと焦り出す。
脳が早く飲み込めと、それまで以上に強く言ってくるのですが、プチパニックになっている心は、最後のあがきをみせる。
こうして口内戦争が長引いているうちに、更に薬は溶けていく。
舌が痺れるほどの不味さ。
もう大人なんだから吐き出すなと必死に自分に言い聞かせて、なんとか飲み下す。
というか、薬は口の中ですでに溶けているのですが。
なんとか薬を飲み終わった時少し涙が滲んでいる。
私に幸あれ。

このように錠剤が苦手なので、基本的に粉薬を選択するようにしています。
粉の場合は喉を通れないのではという心の疑問を即却下できるので、プチパニックにならずに飲めるので。
が、頭痛薬は錠剤タイプのものが多く口内戦争を避けられない。

ところがある日、テレビCMで服薬補助ゼリーなるものを知りました。
その時どれほど安堵したか。
これで口内戦争を終結させることができる。
開発者の皆さん有り難う。
それがこちら。

薬をこのゼリーで包むようにして口に入れます。
これはゼリーだ。私は今ゼリーを食べるのだと自分に言い聞かせると・・・つるんと飲み込める。
もう涙は滲まない。
素晴らしい。
お蔭で苦手なものを私は一つ克服できました。
自分の力じゃないけど。

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