小説のアイデア

  • 2017年08月10日

小説のアイデアはいろんなところから生まれます。

街で見かけた光景や、美術館で出合った一枚の絵から小説が生まれることがあります。
映画からテーマが生まれることもあります。
小説「エデンの果ての家」は、大好きな映画「エデンの東」のような作品を書きたいとトライしました。

テーマとまではいかなくても、映画から受けたインスピレーションを、1つのシーンに取り込むこともあります。
映画で心に残ったシーンを、自分なりにアレンジして小説に入れるのです。

ある映画で、主演女優が朝職場に出社してくるシーンがありました。
クラシックなデザインのバッグを自分のデスクに置く動きがとても優雅で心に残り、似たような状況を作り、同じように小説の登場人物を動かしたことがあります。

地位も権力もある女性が登場する映画がありました。
その女性が広い自室で客と対面する場面。
その女優は長いソファの端っこに座っていました。
背中は真っ直ぐで堂々としているように見えるし、セリフの内容は理路整然と指示をだしているといったもの。
なのにソファの端っこに座っているのが、実は自信がなくて心のもろさを隠しもっている点を、見事に表現していると思いました。
小説の中の1シーンにアレンジして使わせて貰いました。

これは確か海外のテレビドラマだったと思うのですが、警察関係者の夫が犯罪者から逆恨みされ、その男に妻が殺されてしまうという作品を観ました。
妻の葬儀で夫がメモを見ながら弔辞を読んでいくシーン。
参列者たちは涙を零しているのですが、夫はとても淡々と語っていきます。
妻との出会いや、これまでの生活を冷静に語る夫の目には涙はありません。
カメラが回り込み、メモが書かれたカードを持つ夫の手元が映ります。
カードを持つ指先の爪が白くなっていて、力が入っていることがわかります。
哀しみと怒りを堪えていることが一瞬でこちらに伝わり、ぐっときました。
涙を流したり、大声を上げたり、物を壊したり・・・といった表現以外にも、深い哀しみを伝える方法があるのだと教わりました。

このように様々なものから影響を受けて、1つの小説が生まれていきます。

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