旅で

  • 2017年09月28日

友人A子は50歳。
一人旅をエンジョイ中。
パリにいます。


A子は結婚前にも一人旅で京都へ。
結婚したらしばらくは一人旅をできないだろうからと言って、旅立ちました
当時20代の身空での女の一人旅は珍しかったようで、どこへ行ってもあれこれと声を掛けられたそうです。
なにも言ってないのに「頑張りなさいよ」と励まされることもあったとか。
どんな物語を勝手に私に背負わせてんのよと、A子は笑っていました。

時は流れ子どもが大きくなり、自分のためだけに時間を使えるようになった今、身体が動くうちに行きたいところへ行っておこうと思ったA子は、パリを選択。

A子のブログには、彼女の笑顔の写真が日々アップされています。
いつも隣に若い男性が日替わりで登場しているのが気になりますが、旅を楽しんでいるということでしょう。

A子から届いたメールによれば、前日は迷子になったらしい。
なんでも街でフランスのとても有名な俳優さんを見かけたという。
そっくりさんではなく本物だと確信したA子は、どこへ行くのかと後を付けてみた。
やがて観光客は行かないような路地へ。
ふと辺りを見回してみると、歩いているのは俳優らしき男性とA子だけ。
自分がどこを歩いているのかわからないため、引き返すことさえできないと気付く。
そのような状況になっていてもなおA子の頭には、突然男性が足を止め、つかつかと歩み寄って来ると「私に興味があるようだから、よかったら一緒にコーヒーでも」と誘われたりしてなどと妄想が浮かんでいたという。
結局その男性はA子をお茶に誘うことなく、白い壁の小さな家に入っていったそうです。
そこからが大変。
ここはどこ? な訳です。
ドアをノックして、あなたを付けてきたのですがどうやったら元の場所に戻れますか? と聞くことはできない。
とにかく戻ってみようと、来た道を逆方向へ進んだつもりだったらしいのですが、周りの景色はさっき見たような、初めて見るような・・・。
でもって、50歳の迷子の誕生。

スマホのGPSはなぜか動かない。
道を歩いている人がいれば、スマホの翻訳アプリを使って、質問できるのでしょうが、いかんせん野良猫しかいない。

このような事態になってもなお、もしかして私が困っていると、男性が突然目の前に現れて「僕を付けたりするかさ。疲れているようだから、僕の家で休んでいきなさい」と言われたりしてと、妄想の違うバージョンを作っていたそうです。
A子よ、それはそっくりさんだ。

結局勘で突き進んでみたら、運良く大きな通りに出ることができたそうです。
そこにはたくさんの人がいたし、GPSも動いたそうで、自分がどこにいるのを把握することができたとか。
なんだかんだで迷子になっていたのは1時間ぐらいだったそうです。

ブログに書くと、それを読んだ夫と子どもから馬鹿にされるだろうから、あなただけにメールしたの。
と、ありました。
50歳の女の一人旅はとても楽しそうです。

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