• 2018年07月30日

小学生の頃の悩みは唇の皮が剝けることでした。
捲れかかってくると気になるので、この皮を剥がそうとする。
しかし上手には剥がせず、そんな時には血が出ました。
いつも唇から血を出している小学生・・・それが私でした。

中学生になるとリップクリームを塗りまくる毎日。
それでも油断をすると皮が剝けました。
しかし剥がす技術は向上せず、そんな時には血が出ました。
いつも唇から血を出している中学生・・・それが私でした。

この頃からリップ探しの旅が始まりました。
新商品が出たと知れば試す。
ですが、これといったモノとは出合えません。
やがてリップクリームに期待をしなくなっていきました。

それでもまぁ、これならいいかなという妥協点を見つけられたグロスがあって、ここ3年ほどはそれを使っていました。
ところがそれが廃番となってしまいました。
メーカーの公式HPに販売終了の文字を見た時の衝撃は物凄く、悲鳴を上げてしまいそうになりました。

それから何度も失敗を重ねた後、たまたま知った敏感唇用美容液なるものを購入。
するとこれがすンばらしい。
感動の余り3個追加注文。
それがこちらです。

1度塗ると長時間もつので、苛々しながら塗り足さなくていいのが嬉しい。
皮が剝けそうな気配なし。
これと出合えた縁にサンキュー。

と、それじゃこれは完璧なのかというと・・・たった1つ問題が。
容器が薄いピンク色をしているのです。
この容器のボディを押すことで上部の穴から美容液を出し、それを唇に押し付けて直接塗るというスタイル。
美容液の色は透明。
薄いピンク色の容器の先から透明の美容液が出るというのが、老眼の私には見難い。
美容液が出てるのか、出てないのかわからない。
なので、唇に押し当ててみて初めて「あ、出し過ぎた」とか「出てなかったか」といったことがわかる。

老眼になってからわかったのは、人は割と勘だけで生きているということでした。
見えないのだけれど、その都度眼鏡やルーペを取り出すのはメンドー臭いといった場面は、日常生活の中にしばしばあって、そういった時は勘でなんとかクリアできるもんなんです。

なのでこの唇用美容液が出ているか出てないのか見えないのだけれど、勘で使い続けることはできます。
美容液自体には満足しているので、勘で使い続けていくことでしょう。
が、できましたなら、透明な美容液がはっきりと見えるような色の容器へのチェンジを、検討していただけると有り難い。

全国の老眼のために勘で生きている人たちを代表して、私見を述べさせていただきました。

ユリ

  • 2018年07月26日

週に1度定期配達して貰っている花の中に、白いユリがありました。
そういえば・・・と、昔のことが思い出されます。

以前住んでいた街のクリーニング店。
外観はいたってフツー。
店内に入ると、待ち構えていたのは40~50代ぐらいと思しき女性。
ワンピースを着ている。
なにを着たっていいっちゃ、いいんですが、クリーニング店の受付でワンピースを着ている人はあんまり見ないので、おっと驚く。
ちらっと腕元をチェックすると、グッチの時計をしている。
店を間違えて入ってしまったのではと一瞬焦る。

自己紹介されたわけではありませんが、この女性はオーナー夫人と読む。
カウンターの隅に置かれた雑誌に目が向く。
それはヴァンサンカン。
最新号とバックナンバーが2冊の合計3冊。
ヴァンサンカンとは、お金持ちでエレガント志向の女性ファッション誌です。
待っている間に客が読むための雑誌が1種類だけ、しかもそれがヴァンサンカンということに、このオーナー夫人のはっきりとした意思を感じる。

そしてレジの横には大きなガラス製の花瓶が。
そこに大量の白いユリが活けられていました。
思わず目玉を剥いてしまう。
ユリの花粉は服に付くとどんな手を使っても落ちないので、扱いに慎重さが求められる花。
少し花が開いてきたら、花芯の先端をそっとカットするのがセオリー。
ずぼらな私が、このユリの花芯の先をカットすることだけは必ずやる。
花粉が服に付いてしまったら、もうどうしようもないから。

なのになのに。
このクリーニング店ではユリを飾っている。
花粉に神経を注がなくてもいい花ならいくらでもある。
というか、ユリ以外だったらどの花だっていい。
それなのに敢えてユリを選んだのは・・・オーナー夫人の趣味なんでしょう。
どんなに忙しくても花芯はすべて完璧にカットするという自信があるのか、それとも花粉が付いてもうちなら落とせるという洗浄力をアピールしているのか。
で、注意深くユリを見てみると・・・花が開いているものの花芯はすべてカットされている。
が、今まさに開こうと動き始めたばかりといった花の花粉は、残っている。

ユリは物凄い生命力で、あっちゅう間に花を開いていくのが特徴。
そのユリが大量にあるので、どんどんカットしていかなくてはいけない。
クリーニングを受け付けてる場合じゃない。
といったぐらい忙しくなるはずなのですが、それほど客がどんどんやって来るお店ではないのか。
それに「どうしてユリを飾ってるのよ。他の花にしなさいよ」と、正論をぶつけてくるようなオバチャンキャラの客は皆無なのか。

疑問はたくさん浮かびます。
その疑問を解決するためにこの店に通い、オーナー夫人と親しくなってみようと思ったのですが、料金が安いクリーニング店が登場して、そちらに行くようになったため目標は達成できず。
やがてその街を離れることに。

ワンピースにグッチにヴァンサンカンのオーナー夫人は元気だろうかと、届いたユリの花芯をカットしながら思いを馳せたのでした。

買い物に付き合って

  • 2018年07月23日

友人A子が歌を習い始めたという。
てっきりどこかのコーラスグループに入会したのかと思ったら、一人で声楽の先生の教室に行き習っているとのこと。
声楽中心の生活になったそうで、声にいいと言われている食材を食べ、声量を上げるために必要だからと、毎日ストレッチを欠かさないらしい。

そのA子から買い物に付き合ってと言われて、ほいほいと指定された場所に出向くと・・・そこは服のオーダーメイドの店でした。
完全予約制のお店には、女性スタッフが4人待機している。
発表会のための服を誂えるのが今日の目的だと、初めて知る。

A子は「こういう感じにしたいんです」といって、デザイン画を店員に差し出す。
なんでも海外の誰かが着ていた服を基に、アレンジして考えたデザインだという。
すでに自分でデザインを考え、それを絵にしてきたA子にちょっと驚く。

次に生地を選ぶことに。
大量の生地サンプルがテーブルにどさっと置かれた時、ようやく私はこりゃあ大変なことになったぞと気付く。
今日中に私はこの店を出られるのだろうかとの不安が胸に溢れる。
次々にサンプルを手に取り見ていくA子。
三十分掛けてすべてのサンプルを見たA子がひと言。
「ここにはない」
マジで?
思わず「掠ったのもなかった?」と尋ねる私の声は少し震えていたかも。
「ない」とA子は言い切る。

そうした客に慣れているのか、店長は落ち着いたもんで「それでは生地メーカーのサイトで探していただきましょう」と言ってパソコンを操作し、A子に画面を向ける。
そこにはずらっと生地の画像が。
A子はにっこりと微笑み「探します」と宣言。
私はその隣で、呆然とA子を見つめるしかありませんでした。

この時点までに、A子は私に1度も意見や感想を尋ねてきていません。
A子の頭にはすでに理想の服があって、それを形にするためにひたむきに進んでいる。
そこに迷いはない。
だから隣にいる私になにも尋ねない。
そんじゃ、なんのために私を誘ったんだよという素朴な疑問が浮かぶ。
しかしそんな質問を口にはできない雰囲気が、A子から醸し出されている。
仕方ないので私はなにも言わずに、店に置かれていた雑誌の頁を捲る。

「これ」とA子が声を上げたのは、パソコン画面を見始めてから30分後のことでした。
その奇跡に感謝。
それからようやく採寸。
満足そうな顔のA子と店を出たのは、入店から2時間後でした。
そこでようやく私の存在に気付いたようで「なんか付き合わせちゃって悪かったね」とA子は言いました。
「結局A子は私に意見や感想を、1度も求めなかったね」と指摘すると、「そうだった?」とA子は目を見開きました。
おいおい。

長時間付き合わせたからと言って、A子がお茶代をご馳走してくれました。
そのカフェで楽しそうに声楽のことを話していたA子。
A子とは長い付き合いだったのに、彼女が昔から声楽を習いたかったこと、でもできなかった事情などを、私はまったく知らなくて、友人であってもすべてを知るなんてことはできなくて、その人のごく一部分だけを垣間見ているだけなんだなと、思い知りました。

イカ問題

  • 2018年07月19日

友人宅で開かれた女子会に参加しました。
参加者全員で料理をするといった流れのようだったので、私も手を洗い「なにをしたらいい?」と尋ねると・・・「イカをお願い」と言われる。
とんでもないものをお願いされてしまい、イカを前に途方に暮れる。

固まっている私に気付いた参加者たちから、「20代の女子でもないのに、えー、できな~い、とか言うなよ」とすごまれる。

しょうがないので私は言い訳を始める。
子どもの頃は近所の魚屋でイカを買えば、すべて処理をしてくれた。
だから我が家ではイカの下処理なんてしなかった。
年月が流れ自炊をするようになった頃には、スーパーでは下処理済みのモノが売られていた。
最近じゃイカは食べやすいサイズにカットされ、エビと一緒に袋に入った冷凍モノしか買わない。
といったことを喋って、私は悪くないといった着地点を目指す。

これで無事に済むはずもなく非難ごうごうの嵐。
その後「見てなさい」という友人の手元をじっと見つめて、イカの処理を学ぶ。
しっかりと学んだ結果思ったのは、やっぱり自分じゃやらないなということ。
そんなことを口にした日にゃ、正座させられて説教されそうだったので「勉強になりました」と殊勝な顔をしておきましたが、スーパーで下処理済みのモノが売られているのに、敢えて丸のまま買う意味がわからない。

そこで私は恐る恐る尋ねました。
もしかして皆様方はカット済みのカボチャと、丸のままのカボチャがあった時、丸のままのカボチャの方を選ばれるのですかと。
するとその場にいた4人全員が、カット済みの方を選ぶと答える。
レンコンを薄くカットし水煮してあるものと、丸のままのレンコンでは? とアンケートを続けると、丸のままの方が3人で、たまに水煮済みの方を買うという人が1人。
里芋は? 筍は? と色々聞いてみたところ、人によって様々だということが判明。
またそこにきちんとした理由はなく、なんとなくといった感じの模様。
だからレンコンは下処理済みで水煮状態のものを買うけれど、里芋は丸のままで買うという人がいて、下処理の大変さは里芋の方が上だろうにとのツッコミをしたくなるケースがあったりする。

私は迷わず楽な方を選ぶ性格故、大変な方を選ぶ人達の心情というものを理解したいと思いましたが、友人たちからは「なんとなく」の言葉しか出てこなかったため、わからずじまいでした。

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