散歩中に

  • 2019年03月07日

友人A子の夫、B男が犬の散歩中にアキレス腱を切ったという。
「相当ドラマチックに転んだの?」と尋ねると、「いや、ただ単に無様にコケたらしい」とA子は答えました。

なんでも日曜日にB男は犬の散歩に出かけたそう。
天気が良かったので、いつものコースよりも足を伸ばしたらしい。
その散歩途中で愛好家らしき人たちが野球をしているのを見かけたので、ちょいと見学。
どちらのチームも国際色豊かだったとか。
人数が足りなかったらしく、B男は突然参加を促された。
微妙に言葉が通じていない部分もあったそうなのですが、中高と野球部だったB男は腕に自信があったため、参加することに。
そしてバッターボックスに。
なんと、シングルヒットを放つ。
俄かチームメイトたちから拍手を送られ、調子に乗ったB男。
次のバッターの打球がレフト方向へ飛んだので、B男は全速力で二塁へ走った。
つっかけサンダルで。
散歩中だったからね。
で、足が縺れてバチンと大きな音がしたなと思ったら、倒れていたという。

連絡を貰ったA子が病院に駆けつけると、B男は手術中。
なにがあったのかを、俄かチームメイトたちから聞いたA子は、やっかいな病気がらみではなかったことでほっとしたのも束の間、ダサい夫にうんざりする気持ちになったとか。
「50歳を過ぎてるのにつっかけサンダルで全速力で走って、無事で済むと思うなよ」とA子は言っていました。

で、B男はへこんでるかと思いきや、入院生活をエンジョイしているそう。
俄かチームメイトたちが、入れ代わり立ち代わり毎日のように見舞いに来てくれて、すっかり友達になったようで、回復したら正式にチームメイトになる約束をしたんだとか。

「なんか結局、俺ってついてるよな」と宣ったスーパーポジティブシンキング男の夫に、「あの感覚についていけないとつくづく思った」とA子。

どんな悲劇もそれをどう捉えるかによって、生き方って変わってきますよね。
B男ほどではなくても、なるべくならばポジティブ思考に転換したいものです。

でもそれは簡単じゃありません。
小説「オーディションから逃げられない」の主人公、展子は自分はついてないと思っている女性です。
一生懸命頑張っているのに自分は評価されなくて、他の人が評価される。
私はついてない。
そんな風に思うのは展子だけではないのでは。
皆さんが身近な存在として、或いは自分の分身として、この展子を感じていただき、彼女の人生を読み進んでいただけたら嬉しいです。


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