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総選挙ホテル
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総選挙ホテル

  エピソード  

お仕事小説を。
これが我が家に来た編集者のオーダーでした。
「了解」と答えて、どんな業界の話にしようかとあれこれ考えることに。
これなんてどうだろうと浮かんだのが「花」「コーヒー」「ホテル」。
どれも好きで、以前から興味があったものです。
検討した結果「ホテル」を選びました。

ホテルマンと客の心温まる交流……なんて物語がいいのじゃないかと、プロット作りに取り掛かったのですが。
どうもしっくりこない。
ストーリーが動き出さない。
そんななかホテルマンに直に話を聞ける機会が到来。
ホテルの仕事について色々と教えていただきました。

わかったのは、その難しさと大変さでした。
そもそも形のあるモノを扱っていないという点が難しい。
それにホテルには大勢のスタッフがいて、仕事の種類がたくさんある特殊な環境です。

もし経営が厳しいホテルで私が働くことになったらと考えてみたら、途方に暮れてしまいました。
そこで、異分野の人にこのホテルに入って貰ったらどうだろうと考えました。
ホテル業界のセオリーや常識を知らない人です。
こういう人はとんでもないことを言い出すに違いないのです。

そこでまずはこの人物の輪郭を作っていきました。
どういう性格で、どんな子ども時代を過ごしてきたか、これまでなにをしてきたか、なにが好きで、なにが苦手か・・・といった細部を決めていきました。
こうして元山という人物が完成しました。
ちょっとアクの強い、個性的なキャラクターの元山に社長になって貰うことにしました。
彼ならホテルの危機にどう向き合うだろうか。
そこで彼に尋ねてみました。
「どうする?」と。
これ、おかしなことを言っているとの自覚はあります。
妄想が酷過ぎますよね。
ですが作家の中には、こんな風に登場人物を作ったら、その人物に聞いてみるといった変な感覚の持ち主がいるのです。
私もその中の1人。
で、彼に尋ねてみると・・・とんでもないことを言い出しました。

なにを言い出したかは小説をお読みください。
ホテルのスタッフたちは、彼の思い付きに振り回されます。
その中で「働く」ことを見つめ直し、自分と向き合うようになっていく・・・そんな小説になりました。

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