働くということ

  • 2015年04月16日

OL時代のこと。
私の上司はワープロを使うことができませんでした。
パソコンなんてものが普及する前でしたから、そんな人は結構いたのです。
それで、書類仕事は部下である私がすべて担当。
ま、いいですよ、それも大事な仕事ですから。
喜んでやらせていただきましょう・・・とは言えない事情が。
当時、会社には2つの大きな派閥がありました。
会長派と社長派です。
さらに会長の息子、社長の息子が、それぞれの派閥の傘下に入っていて、ちっちゃい争いを毎日繰り返していました。
どこかの会社の話に似ていますが、まぁ、よくある話なんでしょう。
nyuuryoku
上司から「これをワープロ打ちして」と頼まれます。
で、作って提出すると、上司はそれを持って部屋を出て行きます。
私たちは別館の一室にいて、本部は隣のビルにあったので、いちいち一旦ビルを出て隣のビルに行かなくてはいけませんでした。
20分ほどすると、トントントンと上司が階段を上ってくる足音が聞こえてきます。
そして、真っ直ぐ私のデスクにやって来て「ここ、直してくれる?」と言います。
直します。
と、上司はまた隣のビルへ。
20分ほどすると、トントントン。
で「ここ、直してくれる?」となって、直すと出て行く。
これを1日中延々と繰り返すのです。

どちらかの派閥の通りに書類を作ると、違う派閥からそれじゃダメだと拒否される。
修正すると、今度は最初の派閥の方がそれじゃ許可しないとごねる。
私の上司は、この間を行ったり来たりするだけの無為な時間を過ごしていました。

当時の私は大学を出たばかりで、働くということに意欲はなく、意味を考えたこともないお気楽なOLでした。
そんな私でさえ、なんか間違ってると思う・・・と気付くほどの、不思議な風がその会社には吹いていました。

同時にその上司を見て思ったのは、会社員って大変だなということ。
そうなんです。
会社員は大変なんです。
会社員の大変さをちゃんと描く小説を書きたいと思っていました。
そして書いた「ハタラクオトメ」は文庫が発売されましたので、興味のある方はお手に取ってみてください。
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今振り返ると、私がたくさんのことを学んだのは会社員時代でした。
学生時代は、同じ年齢の似たような環境にいる友達とつるんでいることがほとんどでした。
でも会社には年齢も経験も価値観も違う人たちが、ごったまぜ。
そうした自分とはまったく違うキャラの人たちと一緒に、ゴールを目指さなくてはいけない・・・そりゃあ大変なことです。
「ハタラクオトメ」では、腕時計メーカーで働く様々な部署の人たちが登場します。
立場が違えば、意見も違ってきます。
違うからこそアイデアが飛躍できたり、ミスを事前に察知できたりすることもある・・・そんな風に思えた時、人として成長しているのではないでしょうか。

「トントントン」の上司、元気かな? なんて思いました。

一新したい

  • 2015年04月13日

加湿機能付きの空気清浄器を一新したい。
そう思ったのは去年のこと。

使用中の加湿機能付き空気清浄器への信頼感が、薄らいでしまったというのが理由です。
タンクに毎日1回水を満タンにします。
毎日タンクの水は減っているのですから、水は部屋に出ているのでしょうが、気化式で目には見えない。
でもって、湿度計によれば部屋の湿度は20%台にしかいかない。
理想だという40%台なんて、全然到達できない。
でも、タンクの水は毎日空になる。
ってことは、湿度計がおかしいのか? と思って、別の部屋にあった2つの湿度計で計ってみましたが、微妙に誤差はあるもののやはり20%台。
不思議です。
パワー不足ってことでしょうか。
seizyouki
さらに加湿フィルターは1シーズンで1度、空気清浄フィルターは6年に1度交換と、取扱説明書にはあるのに、交換時期になると点灯するランプが、1ヵ月ぐらいで点いてしまうのです。
取扱説明書には、設置場所の環境によって交換時期は前後すると予防線がはられています。
「どんだけ我が部屋の空気が汚れていて、カラッカラってこことなんかい」と言いたくなるってもの。
交換時期を知らせるランプへの不信感は、やがて本体への不信感へ。

そこで信頼できるものを買おうかと、ネットで探してみると・・・。
部屋が狭いので、できれば加湿器と空気清浄器の2つの機能をもった一体型が欲しい。
が、月に1度本体丸ごと洗わなくてはいけないとか、値段が高すぎるとか、様々なマイナス要因と出くわして決められません。

いっそのこと大幅に条件を譲歩して、加湿器と空気清浄器は別にして、それぞれの高機能のものを買おうかとのアイデアさえ浮かび出すと、もう全然決められない。

結局・・・そうこうしているうちに冬が終わり、春に。
加湿器への期待感が高かった乾燥の冬が過ぎてしまうと、「ま、いいのが見つかったらでいいか」といった程度になり、買い替えることへの情熱が消えてしまいます。
となるとさらに決定できずに、各メーカーの加湿器と空気清浄器の情報にだけ、やけに詳しい女が1人誕生。
誰かに背中を押してもらいたいと思う今日この頃でした。

ハタラクオトメ

  • 2015年04月12日

文庫「ハタラクオトメ」が発売されます

  • 2015年04月09日

文庫「ハタラクオトメ」が発売になります。
4月10日から書店に並び始める予定です。

腕時計メーカーで働くOLの物語です。
以前からOLを主人公にした小説を書いてみたいと思っていました。
日経ビジネスアソシエさんというビジネス雑誌で連載をさせていただくという、またとない機会を得ましたので、OLをどーんと主人公にもってきました。
体重もどーんと100kgある主人公は、ごっつぁんというニックネーム。
このごっつぁんは食べるという行為以外は、さらっとこなすといった生き方をしていました。
が、突如仕事と向き合わざるを得なくなり、様々な障害に直面します。
会社にはたっくさんの障害があるもんです。
頭の硬い上司とか、派閥とか・・・。
唸り声を上げたくなるような日々。
でも、それまでは決して味わえなかった仕事の醍醐味というものを、ごっつぁんは知っていきます。

スポーツ選手や映画スターや、アーティストだけが、キラキラした人生を過ごしているわけじゃない。
会社員にだってドラマはたくさんある。
ぶつかったり、悩んだり・・・そして嬉しくなったり。
そんな身近な生活の中にあるドラマを描けていたらいいのですが。
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ウルトラ級の可愛さ満開の装幀になりました。
単行本の時にもお世話になったサカモトキョーコさんに、またお人形を作っていただきました。
個人的には、脹脛のラインと鼻の穴が気に入っています。
女子の心に直球さ・・・といった装幀ではありますが、男性の皆様にも臆することなく手に取っていただければと思っています。
隣のデスクのOLがどんなことを考えているのか・・・知っておくべきでしょ、やっぱり。
であれば、男性の皆様も、ぜひ。

帯にある通り「働く女性は美しい」のであります。

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