映画「椿姫ができるまで」

  • 2015年05月18日

最近観た映画で面白かったもののご紹介。

まずは「椿姫ができるまで」。
ヴェルディのオペラ「椿姫」が上演されるまでを追ったドキュメンタリーです。
こういう映画や舞台作品が完成するまでの密着ドキュメントが大好きで、数々観てきた私ですが、その中でもこれはずば抜けて素晴らしかった。
opera
稽古が進んでいくのを追いながら「椿姫」という作品のストーリーも楽しめる二重構造になっています。

椿姫を演じるフランスのオペラ歌手は、生意気さ全開で、演出家の指示を軽くいなして好き放題といった様子。
それが稽古を重ねるうち、二人の間に信頼が生まれ、全身で演出家の言葉を聞くようになっていくまでの過程が見所。

歌手と演出家だけじゃなく、衣装や小道具担当など様々な舞台に関わる人たちの興奮具合も伝わってきて、なんだかこっちまでワクワクしてきます。

アシスタントが「ちょっと確認したいことがあるんですけど」と言って、演出家に近付いていくのですが、その手には付箋がたくさん付いた台本が。
こういう何気ないシーン、たまらなく好きです。
「あぁ、そうだよね、アシスタントさんって、細かいツメをたくさんしなくちゃいけないから、大変なんだよね」なんてちょっと同情したり。
スタッフの打ち合わせ中、小道具のグラスが足りないことが発覚し、演出家が「誰が手配することになってた?」と皆に尋ねると、全員が自分じゃないと責任逃れをしようとするシーンも、あるある、あるね、こういうこととくすりと笑ってしまったり。

椿姫が徐々に魂を吹き込まれ、作品となっていくまでの過程は見ものですし、感動ものです。

次にご紹介するのは「42 世界を変えた男」。
アメリカで黒人初のメジャーリーガーとなった野球選手の伝記映画です。
実在した人物の映像作品の場合、現実がそうだからという足枷があって、エンタメ作品としての完成度を高めるのが難しいケースが多いように感じます。
ですが、この作品は脚本が素晴らしく、カットすること、光をあてること、光の影として散りばめるだけに止めることの判断が見事。
野球に興味がない人も、野球を愛した人、野球に愛された人の人生に心を添わせることができる仕上がりです。

ブログ内検索

  • アーカイブ


  • Copyright© 2011-2024 Nozomi Katsura All rights reserved. No reproduction and republication without written permission.

    error: Content is protected !!
    Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.