小説とドラマ

  • 2016年03月24日

NHKプレミアムドラマ「嫌な女」をお楽しみいただいているでしょうか?
日曜日の午後10時から放送中です。
佳境に入ったドラマをどうぞご堪能ください。

ドラマ化にあたり、原作の小説「嫌な女」を踏襲しているところがある一方、まったく変えているところもあります。
小説と映像ではそもそも楽しみ方が違うものなので、私としましては全然オッケー。
原作通りになっていなくても、映像としていい作品になっていれば、その方が嬉しいです。
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ドラマ「嫌な女」では小説の中のセリフをそのまま使っているシーンが結構あって「へぇ、そこで息継ぎするんだ」とか、「そこに間を入れるんだ」なんて役者さんが自分の言葉にしているテクニックに感動したりしています。

小説とドラマで大きな違いといえば、夏子です。
小説内では夏子は1シーンも登場しません。
誰かが夏子を語っているだけで、夏子本人は登場しないのです。
ですがこれ、気付かない人も多いようで・・・。
小説を読み慣れているはずの文芸編集者でさえ、夏子は1シーンも出てこないと私が言うと、「あれっ? そうでしたっけ?」と驚くぐらいでした。
こうすることで、読者のそれぞれの頭に、自分だけの夏子を作っていただけるのではないかと期待したのです。
書かずに描きたいとの思いから、こうした挑戦をしました。
が、ドラマでは登場させないというわけにはいきません。
なので、ドラマには生身の夏子がしっかりと登場します。
鈴木保奈美さんが、ずるくて、でも詰めが甘くて、可愛いけどしょうもない夏子を演じてくださっています。

一方の徹子は真面目で不器用な女性。
暗くおとなしい感じで演じることもできたでしょうが、黒木瞳さんは弱さをもちながらも、それを表には出さず、しっかり者といった評判を得るような女性像を作っていて、さすがだなぁと感心しています。
dokusyo
小説には小説の味わい方、ドラマにはドラマの味わい方があります。
どちらもゆっくりと味わっていただき、楽しんでいただきたいと願っています。

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