ベッドで本を

  • 2016年04月18日

OL時代、同僚が1冊の本を貸してくれました。
お勧めだと言って。
頼んでもいないのに。
これがとんでもないことになろうとは、借りた時にはまったくわかっていませんでしたから「サンキュー」なんて極楽にお礼を言ったりしていました。
beddo
ベッドに入り、寝る前にちょっとだけ読んでみようかとその本を開くと・・・サイコものの小説でした。
私は怖がりなので、小説は勿論映画やテレビドラマなども、こういった類のものは避けて通るようにしていました。
なのに、本を読み始めてしまったのです。
主人公は男性で、女性に監禁されてしまいます。
この女性が次になにをしでかすかがまったく予想できない。
それが恐ろしくてしょうがない。
だからもう本を置いて眠ってしまおうと思うのですが、目を瞑れば、その女性が私を襲ってくる映像が浮かんでしまいます。
物語が少し落ち着くまで読んで、ドキドキが治まってから寝ようと決めてページを捲るのですが、これが全然落ち着かない。
スリルがずっと続く。

主人公が監禁されている女性の自宅に、なにも知らない人がやって来るシーンが出てきました。
主人公は限られた条件の中、必死でその人物に自分の存在を知らせ、助け出して貰おうとします。
もし失敗すれば、その後女性からさらに酷いことをされるとわかっていても、それが最後の頼みの綱と思い、行動を起こすのです。
早く眠りたい私は、主人公と一緒にドキドキしながら「気付いてくれー」と心の中で叫び続けます。
「ほらほら、早く、あとちょっと」と主人公に声援を送ったりもして、アドレナリン大放出。
で、あとちょっとのところで失敗。
がっかりの気持ちがハンパない。
これに成功したら本を閉じ、眠れると思ったのに。

結局本を最後まで読み切りました。
その時午前7時。
もう出勤の準備を始める時間になっていました。
完徹です。
学生時代試験前だって完徹なんてしたことのなかった私が、とんだ目に遭いました。
出勤し、本を貸してくれた同僚に「この目の下のクマを見てよ。一睡もせずに読むはめになったじゃないの。こういう類の本だって事前に教えてちょうだいよ」と文句。
同僚は「ひゃひゃひゃ」とウケていました。

こういう悪ふざけはやめてくれと思う一方、この作家の凄さに改めて驚嘆します。
本を閉じさせないほどの迫力と、スピーディーな展開。
夢中にさせる手腕と描写のリアル感。
こんな風に読者のハートをぐっと掴んで離さない作品を書けるようになりたいと思っています。

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