映画「嫌な女」のプレミア試写会

  • 2016年06月16日

昨夜、映画「嫌な女」のプレミア試写会が行われました。
自分の小説が映像化されると、いつも「どんな気持ち?」と聞かれます。
そんな時には「娘を嫁に出したような気持ち」と答えています。
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自分が生み出した物語、キャラクターたちが、違う世界を与えられ、そこで輝いている姿を見るのはなんとも不思議で、また嬉しいもんです。

撮影現場に遊びに行かせていただいたのは去年の暑い日でした。
スタジオでは、大勢のスタッフが1カットに全力を注ぎこんでいて、胸が熱くなりましたっけ。
監督の黒木瞳さんは勿論のこと、吉田羊さん、木村佳乃さんの美しいこと。
そんじょそこらの美人なんかとは桁違いの美しさなんです。
その日は、木村さんのセリフが結構長いシーンの撮影でした。
で、木村さんは台本を持ってない。
セリフが全部頭に入っているんですね。
あー、プロなんだなぁと感心しました。

撮影の合間に吉田さんとお話をする機会がありました。
すでに終了した撮影シーンの話を吉田さんがなさいました。
それは映画の中でキーとなる大事で感動的なシーン。
そのシーンを撮影していた時のことを話していた吉田さんの瞳から、突然涙が。
焦る私。
どうしようと思った私は慌てて、「メイクが。メイクが」とわけのわからないことを口走りました。
なんでも吉田さんはその撮影のことを話しているうちに、その時の気持ちが蘇り、涙が出たそうです。
美人に泣かれると、焦るもんですね。
ふと、辺りを見回すと・・・だーれもいない。
えっ?
遠巻きに私と吉田さんが立ち話をしているのを見ないようにして見てる。
ついさっきまで、すぐ側に大勢の人がいたのに。
ん?
もしかして、私がなにかキツいことでも言って、吉田さんを泣かしている・・・といった図になってますか?
違うってと大きな声で訴えたかったのですが、準備が整ったため、吉田さんはカメラの前に。
撮影はずんずん進み、誤解を解くチャンスは訪れず。
結局、私が泣かしたのでははいということをスタッフの皆さんに告げられないまま撮影所を後にしました。
誤解を解きたかったよなぁという思いと、それだけ熱心に徹子という女性を演じてくださったんだなぁ、有り難いなぁとの思いを抱えて帰路につきました。
映画は6月25日公開です。

締め切り

  • 2016年06月13日

どんな仕事にも締め切りはありますね。
いつでもいいよ~なんて仕事があったら、それは疑った方がいいでしょう。
期待されていないか、裏があるかのどっちか。

で、作家にも締め切りは当然あります。
なにかに連載している場合は。
発売日が決まっているので、印刷所に渡さなくてはいけない日が決まってきて、そうすると原稿を上げなくてはいけない日というのが自ずと決まってきます。
お尻に火が付いた方が頑張れるタイプであれば、こうした締め切りはとても有効。
ですが、私のようにお尻に火が付いても、その火をただじっと見つめているだけのようなタイプには、締め切りはまったく効果がありません。
執筆スピードが上がったり、アイデアが浮かんだりしないんですから。

このため原稿がアップするのを待っていただき、アップしたら発売時期をご相談しましょうといった順にしていただいています。
そうはいっても心配ですよね。
「本当に書き上げるのか、お前」と、私が編集者の立場だったら思います。
そこで、逐次進捗状況を編集者に報告するようにしています。
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新刊「総選挙ホテル」の時もそうでした。
時折編集者にメールをして、現在の段階がどこら辺なのかをお知らせしました。
その際、箱根駅伝にたとえるようにしています。
「箱根駅伝にたとえると、3区に入ったところです」とか、「やっぱり6区の山下りはしんどくて、時間がかかってます」といったメールです。
この私の話を、編集者がどこまで信じているかはわかりませんが、ひとまず現状を知り、逃亡してはいないと判断して貰えるようです。
「総選挙ホテル」を執筆中、編集者に4区走行中とメールをした翌月に、まだ4区だとメールをしなくてはいけなかった時、深く深く反省しました。
どうして4区を1ヵ月の間ずっと走っていることになったのか、どうして5区の走者にたすきを渡せないのか、原因を考えてみました。
筆が止まったといった感覚はありません。
そこで、その1ヵ月間のスケジュール帳を開いてみると・・・いわゆる雑事に猛殺されていたことが見て取れました。
問い合わせのメール、打ち合わせ、取材・・・こうしたことに精一杯になり、執筆の時間を全然確保できていなかったことに気付きました。
このままではいかんと反省し、1日の仕事の時間割を見直しました。
執筆時間と雑事をする時間をきっちり分け、どちらも互いを侵食しないように心掛けてみることに。
すると、それまでより執筆が捗るようになりました。
この時間割を守るようにしてからは、編集者へのメール報告もし易くなりました。
進捗が遅い時には、言い訳をあれこれ考えなくてはいけなかったため、気の重いメールでしたが、スピード感が出るようになってからは、気持ちが随分軽くなったからです。

「総選挙ホテル」の当初予定していた原稿アップは去年の秋でしたが、今年になってようやく完成しました。
いやぁ、良かった。
もう原稿が遅れている言い訳の在庫を出し尽くしてしまい、次の言い訳を思いつけないぐらいだったもので。

文庫「我慢ならない女」が発売になりました

  • 2016年06月09日

文庫「我慢ならない女」が発売になりました。
今日あたりから書店に並び始めますので、ぜひお手にお取りください。
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「嫌な女」に次ぐ「女」シリーズの第2弾です。
とはいっても、作品はまったく違うものですのでお間違えなきように。

そもそもこの「女」シリーズはいつ始まったのか?
「嫌な女」を発表した時には、まったく考えていませんでした。
この原稿をアップした後、タイトルをどうするか編集者らと話し合いをしていた時、候補には「女」がついていないものもたくさんありました。
やがて「嫌な女」が非常にインパクトがあったので、「女」がついたタイトルの方がいいのでは? との意見が誰かから出て・・・そうかもなんて思っているうちに、気が付けば「〇〇な女」の〇〇のところを考えるように。
そして「我慢ならない女」というタイトルが誕生しました。

そのうち誰からともなく、フツー女3部作じゃないのか? といった話が。
そうなの?
と私は驚き、いつからシリーズになったんだったかなぁと首を捻りながらも、女性が主人公の物語の企画を練るように。
この第3弾は現在執筆中のため、そのうちお披露目できるのではないかと思っています。
こちらは気を長~くもってお待ちくださいませ。

「我慢ならない女」にはひろ江という小説家が登場します。
このひろ江が、小説を書くことにひたむきではあるのですが、編集者や世間やいろんなものに対して容赦しない性格で、コミュニケーション力に難がある。
読まれた方が、どうもこのひろ江と私を同一視されるようで。
争いごとが嫌いな平和主義者のてんびん座の私は、なるべく穏便に物事を進めたいと思っています。
ひろ江とは私は似ていないですし、別人格なのです。
この点は強く主張したい。
私の主張に興味はもてなくても、ひろ江の人生には興味をもっていただきたいと願っています。
描いているのは、筆一本で生きようとする、強くて尖ってる女の生き様です。
もがき苦しんだ末にひろ江が手に入れたものを、見届けていただけたら嬉しいのですが。

好きな場所は

  • 2016年06月06日


好きな場所はどこですか?
私はいくつかありますが、東京駅とホテルが好きです。
共通するのは、様々な人が行き交う場所という点でしょうか。
東京駅もホテルも何時間いても飽きない。
勿論時間が許せばの話で、大抵許されないので、そんなに長居はしませんが。

リゾートではなく都心にあるホテルが特に好きです。
ビジネスで利用している人、家族に会いに来た人、遊びに来た人・・・目的の違う人たちがホテルに泊まっている。
この人はなぜここに泊まることになったのだろうなんて、勝手に想像してみたりするのも楽しい。
また宿泊以外の目的で訪れた人もたくさん。
会議が、講演会が、結婚式があって、なんて理由もあるでしょうし、友人とランチで館内にあるレストランに来たという人もいるでしょう。
1ヵ所でこれだけ様々な用途に答えられる場所は、都心ホテル以外にはなかなかありません。

多くの人が訪れるホテルでは、同じように多くのスタッフが働いています。
職種は多く、その仕事に対する考え方も違うでしょう。
客の方は、ホテルであれば気持ちのいいサービスが受けられるに違いないと、期待感が高い。
そうした客たちに対応するスタッフたちは、さぞかし大変だろうと思います。

新刊「総選挙ホテル」ではホテルで働く人たちを描いています。
今の仕事に満足している人も、ちょっと上手くいっていない人も出てきます。
また、スタッフたちの家族も登場します。
「働く」ということに光を当ててはいますが、それだけではなく「人生」についても描けていたらいいのですが。
「働く」ことがすべてではありません。
お金を得るためと割り切って、仕事にはなにも期待しないなんて考え方もアリだとは思います。
でも、どうせ働かなくてはならないなら、そこに喜びがあったら人生は素敵になるとも思います。
自分の弱さを知ったり、自分の強みを教えて貰ったりする・・・それが仕事場。
この貴重な場を大切にしたいですよね。

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