作家が好きな言葉

  • 2016年10月31日

作家にはいろんな人がいます。
個性は勿論好きなこと、嫌いなことは違いますし、年齢もそれまで経験したことも違う。でも間違いなく言えることが1つだけ。
一番好きな言葉は「増刷」。
これを「重版」と呼ぶ方もいますが、意味は同じ。
出版した本の在庫がなくなったので刷り増して、書店に配ることを「増刷する」または「重版になる」と言います。
この言葉を嫌いな作家は一人もいない。

小説を世の中に出す時、大抵ドキドキしています。
読んでくれるだろうか。興味をもってくれるだろうかと不安でしょうがない。
そんな時「増刷」「重版」の連絡が担当編集者から入ると、すんごく嬉しい。
10センチ飛び上がるぐらいの嬉しさ。
「増刷」「重版」は作家の気持ちを強くしてくれる魔法の言葉なんです。

お陰様で「総選挙ホテル」が増刷になりました。
これは書店の方たちや読者が応援してくださったからです。
どうも有り難うございます。
増刷分は11月10日に上がるようですので、書店の皆様には引き続きの応援をお願いするとともに、未読の方は本を入手し易くなったと思いますので、この機会に是非とご案内させていただきます。
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「総選挙ホテル」はお仕事小説と捉えられているようです。
ホテルで働く人たちが出てくるので、確かにお仕事小説という面もあります。
ただプライベート部分を描いたシーンもたっぷりあります。
登場人物たちのそれぞれのドラマを描いたつもりですので、お仕事小説はあんまり・・・という方であっても楽しんでいただけるのではないかと思います。

やってきた新社長が選挙をすると言い出して、社員たちは落選してしまえば、首になるという事態に直面します。
突拍子もない事態ですが、そうした極端な場面で見せる人の本性や、右往左往する人間の心の襞を描きたいと思いました。
思ったはいいものの、そうしたものがちゃんと描けているかはわかりませんが、いろんなことを感じていただけたら嬉しいです。

パジャマとの別れ

  • 2016年10月27日

パジャマを着て寝ていますか?
私は・・・パジャマというモノを着なくなって、どれくらいの年月が経ったか思い出せないぐらい昔にお別れしました。

子どもの頃にはパジャマを着て寝ていました。
高校生の頃はどうだったかと記憶を辿りますが、はっきりとしません。
ここらあたりが、パジャマとの別離の時期だったように思います。

Tシャツとトレーナーにジャージで寝ます。
朝起きるとTシャツだけ洗濯済みの物と交換。
トレーナーとジャージは続行し、エプロンを付ける。
寝ている時と起きている時の違いは、このエプロンのみ。
でもって午後4時頃、またTシャツだけ洗濯済みの物と交換し、再びトレーナーとジャージは続投。
勿論エプロンも続投。
夜、入浴後にTシャツだけ洗濯済みの物を身に付けます。
トレーナーとジャージにもうひと頑張りして貰って、続投。
エプロンはそこらに放っておく。
就寝し、翌朝になると前日の繰り返し。
2、3日に1度、トレーナーとジャージ、エプロンは洗濯済みの物と交換します。
パジャマの出番なし。
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先日インターホンが鳴り、宅配便が。
印鑑を取ろうとエプロンのポケットに手を入れようとして・・・手がするっと滑る。
ん?
ポケットが消えた?
エプロンを確かめてみると・・・裏返しになっていました。
いつからだろう。
サザエさんでもやらない失敗のような気がして、ちょっと哀しくなりました。

Tシャツを着替えるためには、エプロンを外し、トレーナーを脱ぐ必要があります。
また哀しくならないよう、今ではすべての表と裏を確認してから着るようにしています。
Tシャツの表と裏を確認し、トレーナーの表と裏を確認し、エプロンの表と裏を確認し、最後にポケットに手を入れて最終確認。
今のところ緊張感をもって臨めているようで、同じ失敗はしていません。
でも・・・気持ちが緩んだ時に、またやってしまいそうな気がしてしょうがありません。

ひと目で

  • 2016年10月24日

服をクリーニングに出したくなったら、電話をします。
そうすると集配に来てくれます。

いつものように集配に来た男性スタッフに、ブラウスが〇枚と、セーターが〇枚と・・・と渡していきます。
と、「これはロイヤル仕上げにしましょうか?」と男性スタッフが言います。
彼が手にしているのは、私が持っている中で、ベスト3に入るほどの高額なコート。
なぜ?
ほかの服の時には言わずに、そのコートにだけ言う?
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ロイヤル仕上げが一体なんなのか、私にはわかりません。
以前何度か説明を受けたのですが覚えていない。
普通より仕上がりがいいのだったか?
普通のより料金が高かったことは記憶しています。

ほかの服の時に「これはロイヤル仕上げにしましょうか?」と言われたら、「いえいえ、そんな必要はございません」と断れる。
でも、奮発して買ったコートに対して「ロイヤル仕上げにしましょうか?」と言われたら、そうした方がいいのかなと思ってしまう。

そもそも男性スタッフは、なぜそのコートにだけ言ったのか。
彼が見たのは外観だけ。
服の襟元にあるブランドタグを見たわけじゃない。
ひと目見ただけで、価格を予想できたということでしょうか。
じっと見つめてみますが、ほかの服との差はわからない。
さすがにぺらぺらな生地ではないけれど、すんごい生地とも言えない。
なのに彼はそれにだけ「ロイヤル仕上げにしましょうか」と言ったのです。

もしかすると、これは高いのよという私の気持ちが服を持つ手に表れていて、ほかの服より丁寧に扱っていたのでしょうか。
こっちだったとしても、彼の観察眼が凄いということになりますよね。

でもって、どうしたかというと「それじゃあ、お願いします」とロイヤル仕上げを依頼。
まんまと彼の手に落ちたのでした。
そういえば・・・その男性スタッフからは時々電話が掛かって来ていました。
「クリーニングに出すものはありませんか」と言うのです。
それじゃあと、出したことが何度かあった気が。
営業力のある優秀な人だったんですね。

それからは、値段が高かった服を出す時は、ドキドキしながら彼に渡すように。
見つけられ、「ロイヤル仕上げ」と言われてしまうのではないかと思うからです。
で、大抵見つかる。
しょうがないので、安い物と安い物の間に挟んでまとめて渡してみたりする。
が、優秀な彼はそんなことではごまかされない。
高かった服を見逃さない。
そして、今日も言うのです。
「これはロイヤル仕上げにしましょうか?」と。
彼に乾杯。

フェイシャルエステ

  • 2016年10月20日

肌がすっかり荒れて、エステに行こうと思ったのは十年ぐらい前。
今になると、荒れていたのはフードアレルギーが原因だと思われ、なんちゅう無駄遣いをしたもんかと後悔。
が、当時はエステに行って、肌を回復させようと考えたのでした。
行ったのはホテルの中のエステ。
スタッフは感じがいいし腕も見事だったのですが、残念ながら硬いベッドにずっと寝ていなくてはならず、これが腰にきた。
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ベッドに横たわるのではなく、デンタルクリニックのように椅子に座っている状態で、背もたれを倒すというスタイルで施術してくれるところを探しました。
雑誌で見つけたそこは自宅から近く、キャッチコピーには隠れ家のようなサロンとなっていました。

web予約をするとメールがきて、そこには最寄駅からの行き方がかなり細かく記されていました。
マンションの一室でやっていて、看板などは出ていないので、見つけにくいかもしれないが、わからなかったら電話をくれと書いてあります。

で、予約した日に行ってみると・・・住宅街の中に建つ高級マンションを発見。
部屋番号を入力し、オートロックを解錠して貰います。
エレベーターに乗り込み、指示された階数で下りると、一人の女性が待っていました。
その女性に案内され入ったのは、マンションの一室。
ごくフツーのマンションの一室を、エステ店用に改装した模様。
だからといって、そこら辺に生活用品が転がっているといったことはなく、ちゃんとエステだけのために用意されている部屋でした。

エステの途中ではちょいちょい放置される時間があります。
顔になにかを塗られた後で「〇〇が浸透するまで、このまま十分お待ちくださいね」と言われたりする。
この放置されている時、椅子に仰向けの状態で座り目を瞑っているので、なにもすることがない。
せめてノリのいいBGMが掛かっていてくれたら、この退屈な時間も楽しく過ごせるのかもしれない。
でも掛かっているのは、穏やかで静かな癒し系の音楽。
「辛抱」という文字を心の中で書いている時、隣室から話し声が。
隣室にスタッフたちがいるようで、その話し声が聞こえてきます。
声の感じから、少なくても3人はいると予想。
客は私1人。
これで商売は成り立つのか? との疑問が。
エステ店を開くつもりで分譲マンションを購入したのか、それとも分譲マンションを買った後で、エステ店をしようと思い付いたのか。
はたまたここは借りているだけなのか。
エステは完全予約制。
通りがかった人がたまたまやって来るという商売ではないので、客が私だけだとわかっているはず。
それにも拘らず、3人のスタッフがつめている理由が思いつかない。
あまりに暇なので、1日に来る客の数を予想し、掛かるだろう経費を計算。
がっかりするような利益額になって、勝手にそこの将来を憂いました。

施術後支払いをしようとする私に、スタッフが提案してきたのは、回数券を買うという方法。
10回分の料金で11回のエステサービスを受けられると説明します。
来月そこがまだ存在しているかを危ぶむ私に、そのような選択は考えられず。
「私は1回分事に支払うのが好きなんです」と不可思議な言い訳をして、そこを出ました。
その後1、2回行ったような気がしますが、結局は行かなくなってしまいました。
今もまだそのエステ店が存在しているのはわかりません。
もし存続しているとしたら・・・聞きたいことは山のようにありますが。

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