椅子

  • 2017年07月24日

友人が一人暮らしする部屋。
初めてそこに遊びに行った時のこと。
キッチンとダイニングの間にちょこっと出っ張った場所がある。
恐らく構造上それは柱として天井を支える、とても大切で必要な出っ張りではないかと思います。
出っ張ったところの隣はというと、引っ込んでいます。
実際は引っ込んではいなくて壁とは直線なのですが、横に出っ張りがあるため、引っ込んでいるように感じる場所。
そこに古そうな焦げ茶色の木製椅子が。

ゴミ置き場から拾ってきたというそれは、かなりの年代物。
そこに薄い座布団が敷いてあります。

なんとなくそこに座ってみました。
すると・・・座面の床からの高さが予想外に低い。
足を前に投げ出さないと邪魔になるぐらい。
その低い位置からだとダイニングテーブルに着いた友人を見る時は、ちょっと見上げなくてはならない。
そしてキッチンで料理をする友人なんて、巨人かってぐらい大きく見える。

このちょいと下から見る感じがなんとも新鮮で、なおかつどこか懐かしい。
なんでだろうと巨人が料理をするのを見ながら考えたのですが、それが自分がまだ身体が小さかった子どもの頃に見ていた景色に、似ているからではないかと思い付きました。
大人はこんな風に大きく見えたなとか、ダイニングテーブルは下にあるものではなく、上方に存在するものだと認識していたなとか、そんな子ども時代の感覚が蘇ってきました。

なんか居心地がいいと私が言うと、「皆そう言って、そこから動かなくなるんだよね。でも背中真っ直ぐで木だから痛くなるよ」と忠告されました。
友人のアドバイスはスルーしてダイニングテーブルには着かず、その椅子に座って左手でパスタの皿をずっと持ちながら、右手でフォークをくるくる回して食べるというぐらいの気に入りよう。

1時間後トイレに行こうと立ち上がったら、お尻は痛いは、背中はぎしぎし言ってるわで、身体のあちこちから悲鳴が。
「あたたた」と呟きながらガクガクとした動きでトイレに向かう私に、「だから言ったじゃん」と友人から声が掛かりました。
椅子の堅さは論外ですが、ちょっと低い椅子を部屋に一つというのは、なかなかいいアイデアだと思いました。


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