盆栽にチャレンジ

  • 2017年08月07日


小説「エデンの果ての家」の主人公は盆栽のビジネスをしています。
この執筆に入る前の準備中、盆栽に関する本や雑誌を読み込みました。
やがてこれは私もやってみるべきではないかとの思いが。

ネットで探してみると・・・盆栽の通販は結構盛況のようで、たくさんのショップがあります。
目を付けたのはミニ盆栽と銘打ったもの。
初心者がいきなり大きなものは難しいでしょうし、我が家には庭はなく小さなベランダが1つあるだけなので、小さいものがよろしかろうと判断したわけです。

サイトを色々みてみると、どうも初心者には五葉松という品種のものが向いているらしいとわかってきました。
それじゃ五葉松にしようかと考えるのは、ごくまっとうな方の思考。
2本も3本もネジが緩んでいる私の場合、この五葉松がどうも渋過ぎて「カートに入れる」をクリックする気になれない。
松はとっても格好いいのですが、いかにも盆栽の王道といった感じに、私はちょっとなぁと思ってしまうのです。
初心者だからこそ王道を目指し、複数のサイト運営者の言葉を素直に聞きゃあいいものを、渋過ぎるという理由で購入を躊躇う愚か者が私です。

そうこうするうちに桜を見つけてしまう。
直径10センチほどのティーカップに、1本の桜が収まっています。
高さは約10センチと書いてあり、とても小さいことがわかります。
可愛いです。文句なく。
こっちだったら絶対手入れが嫌になったりしないと思うの。だって可愛いんだもの。
テーブルに置いたら素敵。だって可愛いんだもの。
と、気持ちは100%桜に向かっていきます。
育て方の冊子が付いているようだし、きっとできるわ、私にだって。
と、まったく根拠がないのに確信し、この桜のミニ盆栽を購入。

届いた桜は可憐な姿をしていました。
その可愛さに胸いっぱい。
朝起きると桜の様子をチェックし、昼食の準備をする前にも桜の状態を調べ、外出する前には「行ってきます」と、戻った時には「ただいま」と声を掛けるほどの溺愛っぷり。

なのに。というかやっぱり。
桜はどんどん元気がなくなっていく。
嫌な感じです。
そしてふと思い出すのは遡ること20年ほど前のこと。
手入れ不要と言われていたサボテンを枯らしたことが。
この記憶をどうして購入前に思い出せないのかと、自分が腹立たしい。

購入したサイトにアクセスし、Q&Aのページで私と似たような状況を相談している人がいないかをチェック。
するとありました。
似たような状態になった人からのSOSの投稿が。
これに対するサイト運営者のコメントは「残念ながら、復活させるのは難しいと思われます」。

呆然としました。
桜に必要だったのは愛情や声かけではなく、適切な生育環境と技術だったようです。
こんな当たり前のことにこの時点で気が付きました。

小説「エデンの果ての家」の中で、主人公は盆栽診察室を開いています。
客は病気になった盆栽を持ち込み、主人公が診察。
客は自宅でできる回復方法を教わったり、難しい場合は主人公に預けたりします。
主人公は盆栽が回復するまで面倒をみて、元気になったら持ち主に返すのです。

こういう場所があったらよかったのにとの思いが、小説の中にこの設定を作らせました。

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