セールは体力勝負

  • 2019年01月10日

友人とデパートでランチをする約束をしていました。
少し早く着いたので館内をウロウロ。
セールをやっていていつもより大きなBGMと、キャラを変えたかのような販売員たちの呼び込みに、私のスイッチはお買い物モードへ。
夢中になってあれこれ見ているうちに、気が付くともう約束の時間が迫っていました。
慌ててレストランのあるフロアへ移動。

友人とランチをしながらもさっき見た服がチラチラ頭に浮かぶ。
気もそぞろな私を、心配事を抱えているのだろうと読んだ友人。
悩み事があるのなら聞くよと言ってくれました。
友よ。有り難う。
話に集中できていないのは、さっき見たセール品のコートが頭に浮かぶから。
そんなしょうもないことで心を乱す私を許して。

ランチを終えた後、友人とセール会場へ。
さっき惹かれた品を友人に見せようと探したのですが・・・ない。
販売員さんに尋ねると「ついさっき売れましたよー」とのこと。
はぁ。
なんだかすごく勿体ないことをしたといった感覚に。
新年早々縁起が悪いじゃないかといった気さえしてくる。

帰りの電車の中では、買えなかったコートの良くない点を必死で思い浮かべる。
そうでもしないと後悔の気分が押し寄せてくるから。
そうして自宅に辿り着いた頃には、衝動買いをしなくて済んだといった気持ちになることに成功。
物は考えようです。

昔、靴店で販売員をしていた頃、セールは体力勝負といった様相でした。
普段は気取った顔で接客をしているのですが、セールとなると、突然体育会系のクラブに入ったかのような状態に。
1足4~5万する高級靴が、セール時には30%オフ程度になります。
それを狙って大勢のお客さんがやって来ます。
プライスオフになってはいるものの単価が高いため、盗まれないよう店には片足しか出しません。
これの片足を出してくださいというお客さんにだけ、ストックルームからその片足を探し出して渡す。
あっちこっちから「これの片足を」という声が掛かり、最初っから両足出しておけばこんなことにはならないじゃないかと、店のルールに反発を覚えながら働いていました。
狭いストックルームにはラックが並び、三段に積み重ねたそれは、天井ギリギリの高さにまで到達するほどでした。
そこにびっしりと靴箱が置かれていました。

最上段のラックにある靴箱を取るには脚立が必要で、普段はそれを利用しているのですが、セールではそんな悠長なことは言ってられない。
そもそもラックとラックの間は人が1人通れるぐらいの幅しかない。
誰かがラックの間の隙間に脚立を広げたら、他の販売員はそこを通り抜けられず、靴箱を取れなくなる。
で、どうするか。
出したい靴箱が最上段のラックにあるとわかると、まず履いている自分の靴を脱ぐ。
そして左にあるラックの中段の天板の端に、左足の指を引っかけて上る。
次に右にあるラックの中段の天板の端に、右足の指を引っかけてバランスを取る。
そうして目当ての靴箱を取り出す。
こうして私が足を左右のラックの天板に引っ掛けて広げている時、その下を他の販売員たちは身体を屈めて通過していく。
初めてそうしたことをする先輩たちを見た時には、抵抗感を覚えましたが、人間って慣れるもんですね。
あらよってな感じで、天板によじ登るのがどんどん上手くなっていくし、自分の股下を人が通過していくことに、躊躇いも感じなくなりました。

セールの時の忙しさと大変さを久しぶりに思い出しました。
販売員に皆さん、お疲れ様です。


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