水泳

  • 2019年01月14日

30年ぐらい前の話。
友人A子とお喋りしているうちに、水泳の話になりました。
「平泳ぎならなんとか前に進むといった程度なのだけれど、クロールは全然ダメ」と私は言いました。
クロールの場合、腕を後ろから前に回している間に、顔を横に捻って息を吸うという、同時進行の動きが多過ぎて、私にとっては高難度。
と説明すると、A子は「それじゃ、学校のプールの授業の時には苦労したんじゃない?」と聞いてきました。
そう言われてみれば、小学生の時に苦労したような薄っすらとした記憶があります。
しかし入学した中学にはプールがなかったという幸運に恵まれ、そのままエスカレート式に高校、大学へと進学したため、プールとの縁は小学校卒業時に切ることができていたのです。
やがて話題は別のことに移り、水泳の話はそこまで。

そんな話をしたことをすっかり忘れるぐらいの月日が経ったある日、A子から電話が。
A子が友人の別荘にお呼ばれしたので、一緒に遊びに行かないかとのお誘いでした。
行くと返事をした私に「水着を持って来てね」とA子。
深く考えずにわかったと答えました。
近くに露天風呂でもあって、水着で入る決まりでもあるのかなぐらいしか思いつかなかった私。

別送の持ち主、B子と私は初対面。
そこにいた7、8人の女性たち全員とも、私は初対面でした。
私のように友人に連れられたきた人もいて、誰と誰が親しくて、誰がひょっこりやってきたゲストなのかわからない状態。
それはそれで面白くてわいわいやっていると、B子が家の中を案内するよと言ってくれました。
そこで初訪問の人たちで連れ立ってB子の後に従うと・・・部屋のあること、あること。
パンくずを落としながら歩かなかったので、一人では元の場所には戻れんぞと思い始めた頃、B子が扉を開けました。
B子の声が突然変わったように聞こえるなぁと思いながら歩き進んでいくと・・・そこにはプールが。
「プールだプールだプールだ」と何故か連呼する私。
家の中にプールがあるのを、テレビや雑誌以外で初めて見た私は大興奮。
お金があるって素敵だなと思っていると、B子が言いました。
「C子は水泳教室でインストラクターをしているから、ここでゆっくり練習して」と。
そう発言したB子が見つめているのは、この私。
へ?

どこでどのように情報が捻じれたのかわかりませんが、私が泳ぎを習いたいと思っていることになっていて、それにはプライベートプールがいいだろうし、ちゃんとした人が教えた方がいいという考えの元、この場所に私とC子が呼ばれていたのでした。

全然違う。
私はこれっぽっちも泳ぎを習いたいと思っていないと訴えたのですが、まぁそう言わずに、せっかくのチャンスなんだからと丸め込まれて、C子のプライベートレッスンを受けるはめに。

最初は優しかったC子。
コーチとしての使命に火が点いてしまったのか、私の出来があまりに酷かったせいなのか、段々熱血スタイルに。
C子の厳しいレッスンは延々と続きました。

その日の晩に行われたパーティーでは、疲労困憊だった私は隅のソファで爆睡し、楽しい記憶はゼロ。

そんな特別レッスンを受けたのに、クロールの息継ぎは未だにできないということは、軽々に友人に話さないようにしようと思う私は、話は勝手に転がってしまうといった点についてだけは学習したのでした。

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