動物園に

  • 2019年04月11日

初めて動物園に行ったのはいくつの時だったのか。
そして最後に動物園に行ったのはいくつの時だったのか・・・思い出せません。

友人A子は近頃動物園にはまっているそうです。
月に1度程度自宅近くの動物園に行き、ぶらぶらするのが楽しいと言います。
通ううちに動物たちと顔馴染みになり、今日は元気がないなぁなんてことがわかるようになったと、A子は主張します。

A子によれば一番味わい深いのは雨の日だとか。
雨をまったく気にしない動物もいるし、そもそも檻の中にいる動物は雨に打たれない。
ただオープン型の飼育スペースで過ごしているけれど、雨を嫌がる動物もいる。
そんな動物が小さな庇や樹の下に寄り集まっている姿は、目に焼き付くと言います。
普段は割と仲が悪くて、しょっちゅう諍いをしているような動物が「お前は出てけよ」的な意地悪はせず、体を寄せ合い狭い場所を分け合っている姿は、見習いたいような思いになるとも話していました。

動物を狭い空間に押し込めて、本来の生態系とは違う状態で飼育し展示するという、現在の動物園の運営スタイルは、世界的には否定される傾向にあるようですね。
そうなるとやがては遠足の行き先は、バーチャル動物園になっていくのでしょうか。

バーチャル動物園にするならば、すべてを再現して欲しい。
あの「え、なにこれ?」といったくさい臭いも、ぜひ再現して欲しい。
とかく制作スタッフは皮膚の質感や毛並み、動きの滑らかさといったリアリティーを突き進めていきがち。
でも動物って独特の獣臭があるし、糞の臭いも強烈。
それが生きているってこと。
だからこそ、そういう汚い、臭い部分は表現しないようにしようと、なんらかのブレーキをかけてしまいがちですが、それだと本来の姿ではありませんよね。
生々しさは失われ、その動物を見知ったことにはならないように思います。
そしてバーチャル動物園では、雨の日の動物たちの様子も入れて欲しいですね。

人生のピンチの時をどう遣り過ごすのかは難題ですね。
庇の下に寄り集まって、雨が止むのを待とうとするのもアリでしょう。
皆が一休みしている今動けば有利になると考えるのもアリ。
その決断は難しいし正解が一つとも限らない。
1つの会社に同じ目標をもっている2人がいたとしても、ピンチへの対処法も同じとはいかない。
そこに感情というやっかいなものが加わると、決断は更に難しくなったりする。
小説「オーディションから逃げられない」の中では、こういったことも描きました。


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