卒業式の思い出は

  • 2020年03月16日

今年は卒業式も中止になる学校が多いようで、がっかりしている人もいることでしょう。
卒業式といえば人生の節目の感動的なイベントのはず。

「はず」というのには理由があります。
私自身には卒業式の感動的な思い出がないから。
どーでもいいような、くだらないことは、やけにしっかりと覚えているのに、何故か卒業式の記憶はほぼない。

唯一覚えているのが小学校の卒業式。
親が用意してくれたジャケットとスカートを着て、家を出ようとしました。
特別なその日のために、親が黒いエナメル風の靴を三和土に置いてくれていました。
それなのに。
三和土で靴を履く時、これから卒業式という大事なことをすっかり忘れていたようで。
黒いエナメル風の靴の隣にあった、いつもの運動靴に足を入れてしまう。

言い訳をすると我が家の玄関はかなり薄暗い。
小さな照明器具はあったのですが、くっきりはっきりと、すべてが見える状態ではなかった。
だから黒いエナメル風の靴に気が付かなかった。
と、いうことにしてください。

運動靴で学校へ。
下履きに履き替えようとして、周りの生徒たちが、いつもとは違うお洒落な靴を履いているのに気が付き、はっとする。
やっちまった。
家に帰って靴を履き替えてまた学校に来ると、遅刻になってしまう。
小学校生活六年間、一度も遅刻しなかったのに、最後の日に遅刻はしたくない。

出した結論はこのまま今日の一日を耐えるというもの。
自分の間抜けさに呪いの言葉を吐きながら、下履きに履き替えて教室に。
体育館での卒業式、その後の教室での最後の時間も、下履きだったので問題なし。
ところが。
校庭で記念写真を撮りましょうということになってしまった。

級友たちは皆お洒落な靴に履き替えて、校庭へ出て行く。
私はため息をつきながらその後をとぼとぼとついていく。
クラス全体の集合写真では後ろの位置を確保して、足元を写されないようにするも、数人での写真では横に並ぶしかなく、カメラマンが上半身のショットにしてくれることを祈るだけ。
自分の運動靴のことばかり気にしていたせいで、その他のことは憶えていません。
ただただ居心地が悪くて、自分を嫌になっていたことだけを記憶しています。


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