新商品とは

  • 2021年03月18日

某化粧品メーカーが廃棄量を減らすために、新商品を半分に減らすとの記事を目にしました。
なんでも生産量の1~2割は売れ残るそうで、新商品を減らすことで、廃棄量の削減に繋げたいんだとか。

化粧品メーカーには、いっつも新商品を買え買えと言ってくるイメージがあります。
せっかく気に入っている品を買おうと思ったら、すでに廃番になっているなんてことはしばしば。
新商品の場合、合うかどうか試さなくてはいけない。
もし合わなかった場合には、別のメーカーのものを探す旅に出なくてはならないので結構メンドー。
私は新商品よりも、気に入っている品がずっとずっと買えるようにして貰った方が、よっぽど嬉しいんですが。

今年の春のアイメイクのカラーリングは・・・なんて雑誌などでよく見かけますが、季節ごとにアイシャドーの色を変える人って、どれくらいいるんでしょう。
若い人はそんなにコロコロ色を変えるのなんでしょうか。
売り手と買い手の間に差はないんでしょうか?

昔、お店で販売員をしていた頃のこと。
そのお店ではバッグも扱っていました。
直輸入品はとても高額で、お金持ちの人しか手が出ない価格帯でしたが、ライセンス商品になると、OLさんも頑張れば買えるといった値段になっていました。
ライセンス商品の、あるシリーズがとても売れました。
そこで半年後には色を変えたり、素材を変えたりして、シリーズのデザイン数を増やしました。
売れ続けてはいましたが、1年後には次の売れるシリーズを出さなくてはいけないと、誰かが思ったようで新シリーズが登場。
そちらを店の一番目立つところに飾りました。
人気だったシリーズは、店の隅にちょっと並べるぐらい。
ところが片隅に追いやられた方が、まだまだ売れる。
でも販売員は毎日見ているので、飽きてしまっていて、それをとても古く感じています。
だからあくまでもそちらは、旧シリーズを一応置いてありますといった程度の感覚。
新シリーズの方を一生懸命に売ろうとしていました。

ある日、友人から「デパートで新商品を見て素敵だなと思って値段を調べたら、なんとか買えるぐらいだったから欲しいんだけど、あなたに頼んだら社員掛けとかで安くなる?」と聞かれました。
どの商品のことかと思ったら・・・旧シリーズの方のことでした。
だから「それは新商品じゃなくて1年前のシリーズ。新しいシリーズが出てるよ」と教えました。
「そうなの?」という友人は、「でも先月デパートで見たんだけどな」と言います。

その時、はっとしました。
いつ発売されたとか、前のシリーズだとかは、作り手側と売り手側の話であって、買う方は、初めて目にした時が、新商品という感覚になるのですよね。

売り手側と、買う側では、商品に触れる頻度が全然違います。
だから両者では新鮮さという感覚は、まったく違うのだと気が付きました。
売り手側の感覚で新商品を作り捲るスピードは、早過ぎるのではないのか。
そんな風に考えたことを思い出しました。

そのお店ではディスプレーは割と自由にやらせて貰えていたので、ショーウインドーに、旧シリーズのバッグを飾ってみました。
ショーウインドーには新商品を並べるのがセオリーなので、これはセオリー破りでした。
どうなったか・・・旧シリーズのバッグが売れて、お店の売上は上がりました。

いろんなことを考えさせられた一件でした。

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