文庫「じゃない方の渡辺」が発売になります

  • 2023年03月06日

3月9日に文庫「じゃない方の渡辺」が発売になります。
地域によって発売日は前後しますので、書店で見つけられなかった時には、店員さんに聞いてみてください。

この「じゃない方の渡辺」は、「オーディションから逃げられない」というタイトルで、単行本の形態で発表した小説を、文庫化にあたり書名変更したものです。
単行本で未読だった方は、文庫本になったこの機会にぜひご一読を。
この新タイトルで摑みはオッケーといった感じになるといいのですが、どうでしょう。

主人公の展子はこのタイトル通り、「じゃない方の渡辺」と周囲から認識されている女性。
自分には光が当たりません。
光が当たるのはもう一人の渡辺の方。
屈折した思いを抱えながら中学、高校と進学。
絵を描くのが好きで美術部に入部しますが、ここでもやはり光が当たるのは他の部員で、展子ではありません。
いつも主役にはなれない展子が、恋をして、結婚をして、出産をして・・・年を重ねていきます。
嬉しいこと、口惜しいことをたくさん経験した末に、なにに気が付くのか。
それを見届けて頂けたらと願っています。

展子の実家はパン店です。
小説の中には様々なパンが出てきます。
これも小説を読みながら、楽しんで頂けたらと思っています。

以前、パン作りにハマったことがありました。
パン焼き機は使わず、自ら捏ねて、発酵させて、オーブンで焼いていました。
が、何故か捏ねている時に限って、電話が入るという経験が何度も。
捏ねている時は時間との勝負。
素早く捏ねるのが大事なのですが電話が入る。
電話の音を無視するか、出るかの二択。
ここで無視する方を選べないのが私のダメなところ。
急用かもしれないと思ってしまう。
それで急いで手を洗い、一塁に滑り込むかのように電話機に突進。
必死の形相で受話器を握ると、いらない物を引き取りますという営業電話だったりする。
電話の相手が驚くぐらいの音をさせようと、わざと受話器をガチャンと力任せに置く。
これぐらい許されると思う。
キッチンに戻るとパン種はぺしゃんこに。
一応焼きますが、硬いパンになり全然美味しくない。
パンを作る時には一瞬も目を離してはいけないのです。

パン店の盛衰と、じゃない方と言われ続けた女性の歩みの、両方を味わえる小説をぜひ読んでみてください。

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