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週末は家族

週末は家族

  エピソード  

里親制度について、色々と本を読み、調べていくうちに、家族というものの捉え方が日本と外国では大きく違うということを知りました。
日本では、血の繋がりが重要視され、子どもがもっているはずの、最善の生活をする権利については、あまり考慮されていないように、感じました。

子どもの頃、よく遊びに行っていた友人の家には、「おばあちゃん」と呼ばれる人がいました。その家の人たちを真似て、私も「おばあちゃん」と呼んでいました。「おばあちゃん」は家族の中心であり、穏やかに皆を見守っている人、といった印象でした。当然、「祖母」という立場の人なのだろうと思っていましたが、大人になってから、その人は、家族の誰とも血は繋がっていないと知りました。

資料を読み込むうちに、思い出したのは、この家族のことでした。
今、振り返れば、この家族は、血縁があるとか、ないとか、そういうこととは別次元で繋がっていたように思えます。

区が主催する里親発表会に足を運びました。
そこでは、実際に、里親として、子どもを育てている男性がマイクを握りました。
里親をしようと思ったきっかけや、実際に預かってからの苦労話などが披露されました。
今では高校生になった少年が、最近すっかりしゃれっ気が出て、髪型が乱れるのを嫌がって、サッカーの試合でヘディングをしなくなり、困ったもんだと語る男性。まったく、しょうがないんだとぐちる言葉の裏には、里子への深い愛情が感じられて、思わずほろりとさせられました。
その後には、児童養護施設で長年暮らしたという女性が、マイクを握り、そこでの生活を語ってくれました。
辛かった日々を思い出してしまうのか、時々、言葉を詰まらせながらも、胸の内の一部を明かしてくれました。

「家族」と呼ばれているものの中には、様々な形があるいうこと、あってもいいんだということを、改めて感じ、筆を執ったのが、この作品です。

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