年齢

  • 2025年09月15日

本日は敬老の日。
人生の先輩を敬っていますか?
人生の後輩から敬われていますか?

すべての人は平等に年を重ねていきます。
これをどう捉えていますか?
抗っていますか?
それとも受け入れていますか?

私は楽しみたいなと思っています。
「こんなこと昔はなかった」と驚くこともしばしばですが、加齢を今、経験中なのだと考え、しょうがないかぁと笑って過ごすようにしています。

新装版文庫「嫌な女」に登場する人物たちも、小説の中で年を重ねていきます。
弁護士の徹子は、若い時には甘く見られないよう、実年齢より年上に見せようとしていました。
月日を重ねて、そんな工夫をする必要がなくなります。
加齢を受け入れているような徹子ですが、これだけは譲れないというラインが。
それが靴。
詳細は小説で。

一方の夏子は抗う。
必死に若作りをします。
はたから見ていると痛々しいぐらいの悪あがき。
そんな夏子ですが、実は人一倍自分の年齢をシビアに見る目ももっている。
なにせ夏子は男たちを騙して、小金を巻き上げなくてはいけない。
若い頃と同じ手法では通じないことは、身をもって知っているのですから。

だから年齢と時代に合わせて、騙す手法を変えていきます。
まるで老舗の優良企業のよう。
根幹は変えずに、時代に合わせてチューニングし、商品の売り方を変えていくという手法を取っているのです。

やり手ともいえる夏子ですが、残念ながら詰めが甘い。
しばしばトラブルに陥ってしまう。

年を重ねても全然変わらない部分と、年を重ねて変わった部分、どちらもあるのが人間。
徹子と夏子の年の重ね方を、味わってみてください。

新装版文庫「嫌な女」が発売になりました

  • 2025年09月11日

新装版文庫「嫌な女」が発売になりました。

今回新装版を発売するにあたり、改めて原稿をチェックしました。
すでに発表した小説を改めて読む作業は、こっぱずかしい。
当時はこんな風に表現したのかとか、ここでその展開にしたのかとか、昔の自分に驚いたりもします。
また数年しか経っていないのに、遠い昔の自分の心の内を見せられているような感覚も味わいます。

この「嫌な女」を執筆したのは15年以上前。
だからでしょうか。
普段より恥ずかしさは感じませんでした。
どちらかというと、同窓会で久しぶりに友と会ったような感覚でした。
元気だった?
変わらないねぇ。
今、なにしてるの?
と、登場人物たちに尋ねたいような気持ち。
だから今回の原稿チェックは、懐かしい人と久しぶりに再会出来た楽しい時間となりました。

この小説にはたくさんの人物が登場します。
「主人公である徹子と夏子以外で、好きな登場人物は?」と、取材で何度か聞かれました。
このような時に私は「芸者さん」と答えました。
すると取材者は大抵「芸者さん?」と首を傾げます。
1シーンにしか登場しない脇役なので、覚えていないのも当然。
多くの読者は脇役として、さらっと流してしまうでしょう。

でも私は彼女にとても心惹かれているのです。
この芸者さんは銜えタバコをしながらスクワットをして、夏子への思いを語ります。
この健康に気を遣っているんだか、いないんだか分からない矛盾だらけの人。
こういう人に私は強烈に惹かれます。

人にはいろんな面があって、相反することも同時に抱えています。
そういうおかしなところを、愛おしいと思うのです。

芸者さん以外にも、個性的で魅力的な人物がたくさん登場するのが「嫌な女」です。
ぜひお楽しみください。

嫌な女とは

  • 2025年09月08日

あなたが思う「嫌な女」とはどんな人物ですか?
「悪女」ではなく、「嫌な女」とは。

そうだなぁと考え始めたあなた。
特定の誰かを思い浮かべたりしましたか?

結構身近にいそうな「嫌な女」。
絶対に友達にならないと決めている?
半径10メートル以内には、近づかないようにしている?
フランス映画にたくさん出てくる?

小説「嫌な女」には夏子という女性が登場します。
夏子は嘘吐きで、自己中で、お近づきにはなりたくないタイプ。

が、男たちを虜にする女でもある。
性悪女なのに男たちからチヤホヤされるから、ますます嫌な女度を上げている。
真面目に生きている女たちから見たら天敵です。

ところが。
嫌な女の夏子の人生を読んでいくうちに、違う面に気付いていく。
そんな小説が「嫌な女」です。
どうぞ、夏子の生き様を味わってみてください。

新装版文庫「嫌な女」は9月10日に発売になります。
お住まいの地域によって、また購入方法によって、発売時期は前後しますので、予めご了承ください。

「嫌な女」の新装版を皮切りに3ヵ月連続で、文庫が発売になります。
20年以上作家業をしていますが、このような連続刊行は初めてのこと。

原稿のチェックに追われる中で、装幀の確認や、HP等の更新作業の確認など、細々とした業務が続きました。
頭がバグってしまい、これはなんの原稿だっけ? てなことにならないように、音楽の力を借りました。

1つの作品に1つのテーマ音楽を決めています。
それを聞くことで、その作品世界にすんなり入れるようになります。
このパブロフの犬作戦によって、作品世界がまじることなく、それぞれ独立した世界観になっています。
まずは第一弾の新装版「嫌な女」の発売まで、いましばらくお待ちください。

「嫌な女」新装版

  • 2025年09月04日

9月10日に発売になる新装版「嫌な女」のお話を。
まずは新しくなった装幀のご紹介。
こちらです。

既刊の「嫌な女」で装幀をお願いした方たちに、イラストとデザインを新たにして頂きました。
強さと柔らかさの両方を併せもつ、素敵な装幀にして頂きました。

紙版は文庫サイズで、ちょっとばっかり厚いですが、文字が大きくなっているからなので、読み易さは更にアップしています。
未読の方、もう一度という方、是非本書をお買い求めください。

登場人物の一人、夏子は自己中で我が儘で嘘吐きで、男を手玉に取るのが得意。
ある意味、無敵ともいえる夏子ですが、残念ながら詰めが甘い。
だから結局はトラブルに。

そこで頼るのが遠縁の弁護士、徹子。
解決策を探ります。
当事者は勿論、関係者たちから話を聞いて歩く徹子が、なにを感じ取っていくのかを、楽しんで頂ければと思います。

この小説を単行本として発表した際には、様々な場所で取り上げて頂きました。
自著について書かれた書評やコメントを読む度に、大抵驚くのですが、この「嫌な女」の際もびっくりすることが多かったです。

細部についての熱いコメントを読めば、そこを掘り下げるのかと驚いたり、脇役が愛されていると知って驚いたり。

様々な読み方をして貰えるのは、とても嬉しいこと。
小説は読んだ時の年齢や、経験値などによって味わいが変わるもの。

今、読んで、どんなことを思うのかを試して欲しいと願っています。


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