大学1年の時の社会学の授業中でした。
「キブツ」という集団の話が紹介されました。
ユートピアを目指して作られた集団で、平等を第一に考えた制度を作り、実施しているということでした。
その時、「それ、いいじゃん」と、私は思いました。
向学心ゼロの大学生だった私は、授業中は、雑誌を読むか、友人とお喋りをしていました。したがって、先生の話はなに一つ心に残っていません。
ところが、それから二十年近く経っても、「キブツ」という集団の話だけは、なぜか頭の片隅に残っていました。
次の小説のテーマを考えていた時、あのユートピアはどうなったのだろうかと、突然、思い出しました。
調べてみると、複数の集団が、現在もそれぞれの考えに基づいて、生活をしているとわかりました。
「平等な社会」と聞いて、胸に生まれた思いは、二十年ほど前のそれとは違いました。
約二十年の年月が、私の考えを変えたのでしょうか。
大型船の船長さんにお話を聞く機会がありました。
とてもジェントルマンで、穏やかに話をされる船長さんでした。
船長は海の男たちを束ねるのだから、強面の荒くれ者なんだろうという、私の勝手なイメージは、覆されました。勝手なイメージをもっていて、すみませんでした。