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明日この手を放しても

明日この手を放しても

  エピソード  

「きょうだい」に興味があります。
それは、私が一人っ子のせいかもしれません。
子どもの頃、よその家に行くのが大好きでした。
その家には、その家のルールがあり、それは、なかなか面白いものでした。
夕食が、お父さんだけ別メニューの家。おやつは、子どもが好きなものを、子ども自身で電話をして出前を頼む家。この家ではおやつがカレーうどんだったりしました。記念日でもないのに、おやつにメロンが出る家――。
思い出が全部食べ物がらみなのは、意地汚い子どもだったからでしょう。

「きょうだい」の関係も、様々で、興味深いものでした。
敵同士かと思うほどの喧嘩をする「きょうだい」。双子のような、なんでもそっくりな「きょうだい」。互いに敬語を使い合う「きょうだい」――。
一人っ子の私からすると、どれも、不思議で、妙に憧れてしまうような関係でした。
小学校に入ったばかりの私に、母が「なにが欲しい?」と聞いたことがあったそうです。私は元気良く「きょうだい喧嘩」と答えたとか。

「きょうだい」の関係性に魅かれて書いたのが、この作品です。
近くて、遠くて、うざくて、頼りになる……そんな複雑な存在として、「兄と妹」の関係性を軸に執筆しました。

執筆にあたり、漫画の編集者から話を聞きました。
締め切りから逃れるために漫画家がとる、突拍子もない行動について、いくつかのエピソードを聞きました。どれも、まるで漫画のようで、笑っちゃうような話でしたが、その追いつめられてしまう心理状態は、とてもよく理解できます。

明日この手を放しても
単行本
明日この手を放しても
文庫本
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