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頼むから、ほっといてくれ

頼むから、ほっといてくれ

  エピソード  

何故、トランポリンだったのかと聞かれます。
自分でもよくわかりません。

二年前のある日、ネットサーフィンをしていました。
マイナーなスポーツに関する情報を集めたサイトと出会いました。
そこには、スポーツ観戦好きを自称する私が、知らない競技の情報がたくさん並んでいました。
そこで、トランポリンという単語に目が留まりました。
リンクしてみると、トランポリン競技についてあれこれ書いてあり、さらに突き進んでいくと、どうやら、翌週、山形で大きな試合が開かれるようだとわかりました。
行ってみるかな。
軽い気持ちで、新幹線のチケットを取り、ホテルを予約。
そして、山形の体育館で、トランポリンの試合を初観戦しました。
そこで見たトランポリン選手、家族、スタッフたちが、私の心を捉えました。
たくさんの物語が、ここにはある。
それぞれの物語を書きたい。
あまり光があたっていない彼らにも、喜びや苦しみがあって、素晴らしい時を刻んでいるのだということを、語りたい。
そう、強く、強く、願いました。
そして、取材を開始。
知れば知るほど、トランポリン競技の奥深さに触れ、好奇心は膨らんでいきます。
試合観戦を重ね、また、たくさんの方のご協力もいただきながら、やっと、完成まで漕ぎ着けることができました。

書き始めた時には、こんなビターな味わいの作品になるとは、思っていませんでした。
なにかを成し遂げるまでの大変さ、ほんの少しの差で、運命が分かれていく残酷さ、そういったものを見つめているうちに、人生の苦さを感じたせいかもしれません。

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