ロープウェー
- 2014年02月06日
観光地などに行くと、よくあるのがロープウェー。
観光客を高いところへ運び、そこから景色を楽しんでくださいというおもてなし精神の現れでしょうか。
そういったところは、大抵のガイドブックに載っていたりするので「これから、どうする?」「ロープウェーがあるらしいよ」「じゃ、それ乗ってみる?」といった流れになり、乗り込むことになるのです。
私は間抜けなので、こうした話し合いの際、ふんふんと頷いていたりするんですね。
この時、自分が高所恐怖症ということを忘れているのです。
で、乗り込み、ぐらっと大きく揺れて、強い恐怖心を覚え、そうだ、私は高所恐怖症だったんだと思い出すのです。
私は高所恐怖症なので、下で待ってるから、皆行ってきなよと、なぜさっき言わなかったのだろうと後悔します。
が、すぐに、そうか、今まで忘れていたからかと気付き、己の間抜けっぷりに、がっかりします。
先日乗ったロープウェーは、床の中央付近の一部を透明にしてありました。
これ、迷惑です。
「わー」などとはしゃいだ声を上げて、窓側に走り寄る友人らを尻目に、私は窓から少し離れた位置にあるポールに摑まります。
ポールに腕をしっかりと絡め、視線はなるべく遠くへ。
スマホで撮影し合ったりして、盛り上がっている友人たちの中で一人、緊張している私に気付き、どうしたの? と言ってきます。
高所恐怖症だとカミングアウトすると、あれっ、そうだっけ? とのコメント。
長い付き合いなんだから、私が高所恐怖症だということを覚えていてくれたっていいのにと、八つ当たり。
だったら、下で待ってればよかったじゃんと言われ、その通りとうな垂れるしかありませんでした。
頂上に着くまでの間、私の頭には最悪の場合の展開が。
故障して、途中で止まってしまい、数時間もこの中で待たされる。
トイレに行きたくなってしまう。
歯を食いしばり、トイレを我慢し続ける。
やっと地上にレスキュー隊がやってきて、ロープを使って、登ってくる。
これから一人ひとり、ロープで降りてもらいますと言われる。
無理と拒否する。
が、トイレに行きたいという身体からのシグナルを無視することもできない。
いっそ、気を失いたいと願う。
意識がない状態で、ロープに括り付けて下ろして欲しいと。
結局、都合良く失神できず、ロープに括り付けられる。
いざ、降りようとした途端、強い風が吹きつけてきて・・・。
といった具合。
もうスーパーマンぐらい登場させないと、悪い方へと広がっていく想像を収拾できない事態。
顔色が悪いよと、友人らに心配され出した頃、ようやく頂上に到着。
着いてしまえば、こっちのもの。
急に元気を取り戻し、名物だというお饅頭を食べたり、友人のスマホにピースサインをして納まったりと、旅を満喫。
再びロープウェーで降りなくてはいけないということに気付くまで、エンジョイするのでした。