断水に
- 2014年02月13日
1年に1度程度、マンション内の共有貯水槽を掃除するからといった理由で、全室断水になります。
それは大抵平日の昼間の1時間半ほどのこと。
その日の2週間ほど前に、各戸の住人に、予告が書かれた紙が配布されます。
その時間帯に、外へ働きに出ている方にとっては「あ、そ」ぐらいの紙でしょうが、私にとっては、「うっ、またきたか」と渋い顔になってしまうような紙。
早速、スケジュール帳に断水の日時を記入しておきます。
この時間帯に、外に出かける用事を作れればいいのですが、大抵、そんな都合良くはいかない。
当日。
付箋に断水時間を書き、パソコンの隅に貼っておきます。
そして、開始時間の十五分前に、トイレを済ませておきます。
これで、準備はオッケー。
所詮、90分程度のこと。
我を忘れて執筆に没頭すれば、断水中だということなんて、なんの関係もないこと・・・となればいいのですが。
今、トイレには行けないのだと、頭の片隅にあるだけで、どうもトイレに行きたい気になってきます。
よりによって、どうして今、そうなるかな? といった事態に何度も直面しているので、今回もこんな時に腹痛になったりするんじゃなかろうかという不安がよぎります。
一度、そんな不安が浮かぶと、それまで全然元気だったのに、どうもお腹の調子が悪いような気がしてきます。
違う、違う。
弱気な心が、自らを悪い方へ導こうとしているだけ。
と、己の弱い心と戦いながら、時計を見ると、断水開始後10分も経っていない。
あと80分もあるのか・・・と絶望的になります。
いざとなったら、近くのホテルに行き、客のようなふりをして、トイレを借りればいいと、自分を励まします。
そうやって90分をなんとか耐えてから、窓を開け、外に停まっていた作業車がなくなっているのを確認し、ほっと胸を撫で下ろします。
と、さっきまでトイレに行きたくてうずうずしていたのに、そんな気持ちがすっかり消えているのに気付きます。
なんでしょうね、これ。
今はダメなんだと思えば思うほど、それがしたいような気がしてくるっていうのは。
訓練かなんかすれば、克服できるものなんでしょうか。
こんな90分なんて、鼻歌まじりで軽くいなせるような人間になりたいもんだと願う一方で、緊張しいで、悪い妄想ばかりしてしまうような弱っちい人間を小説の中で書きたいとも思うのですが。