「我慢ならない女」の発売
- 2014年03月17日
単行本「我慢ならない女」が発売になりました。
「嫌な女」という作品で、装画と装幀をお願いした方々に、今回また作っていただきました。
個性的でなおかつ品のある装幀になったと思うのですが、いかがでしょうか?
装幀は編集者がデザイナーさんたちと打ち合わせを重ねて作成していくので、私は大体の方向性程度しか知らないでいることがほとんどです。
ある日、ラフ案がメールに添付されてきます。
どれどれと期待して開くと・・・ワオ、といったことも無きにしも非ず。
このラフ案というのは曲者。
あくまでも「こういった感じでいきますよ」といった段階のもの。
最終的なものではないとわかってはいても、「これでいいのぉ?」と不安に襲われることもしばしば。
しかし、これが本番に近づいていくにつれ、当然ながら完成度は上がりますし、色が付けられると、また受け取るイメージもすっかり変わったりします。
この最終ゴール地点を、ラフ案の段階で予想できればいいのでしょうが、素人の哀しさ。なかなか想像しきれません。
それで、ラフ案から最終本番までの間、どうなの? 大丈夫なの? という心配ばかりすることに。
最終的なデザインを見て、そうか、こういう風にしたかったのかと納得し、さすが、プロだなぁと感心するのです。
小説の執筆途中で、一度拝見したいと編集者から言われることが、たまにあります。
装幀でいえば、ラフ案を見たいと言われているわけですね。
そんな時、私は丁重にお断りしています。
自分は装幀のラフ案を見る癖に、編集者から請われたら、それを断るという、ヤな女なんです、私は。
推敲をしていくうちに、今、赤く塗っている部分を真っ青に変える可能性がかなり高く、仮に今、読んでも、最終的なものとまったく違う話になっている場合もありうるので、読んでも時間の無駄ですからと、説明して納得してもらうようにしています。
納得したのかどうかは不明ですが、そうですか、わかりましたと編集者は言って帰っていきます。
さぞかし、心配だったでしょうに。
「我慢ならない女」も、私を信じて、おおらかに待ってくださった編集者のお陰で、自分の思うままに小説と向き合うことができました。
有り難いことです。
「我慢ならない女」では、女性小説家が主人公です。
ぜひ、彼女の不器用なまでの一途な生き様を、味わってみてください。