タクシーから
- 2014年11月20日
今はどこでも情報が取れる時代。
でも、そこに行かなければわからないことというのもありますね。
以前ある地方都市へ取材に行った時のこと。
タクシーに4人で乗車し、目的地に向かっていました。
ぼんやりと窓外の景色を眺めていたら・・・幹線道路沿いに、2軒の太鼓店が並んでいました。
「わっ。太鼓店が2つも並んでるっ」と思わず私は声を上げました。
そのタクシーに乗車していた4人は全員東京周辺の在住者。
太鼓店なんて見たことない。
それが2軒並んでる! というので、私と同じように驚きます。
すると運転手の男性が不思議そうに「珍しいですかね。太鼓店なんてたくさんありますが」と言いました。
さらに驚く私たち。
なんでも1人1個は太鼓を持っていて、それを張り替えたりするので太鼓店は結構あるのだとか。
1人1個持っている・・・そんな土地があるなんて思いもしませんでした。
知らなければ当然検索しようがない。
現地に行かなければわからないことでした。
年に1度の夏祭りが盛大で、そこでは首から太鼓を下げて、バチで叩きながら練り歩き踊るのだそうです。
なるほど。
それなら1人1個持ってないとね。
取材を終えて、帰り支度をしている時のこと。
同行し説明などをしてくださった広報の方に、来る途中で太鼓店を見かけた話をしました。
あなたも1個太鼓を持っているんですか? と尋ねると、とても不思議そうな顔をして「はい」との答えが。
なにを当たり前のことを聞いてくるのだろうといった気持ちがアリアリの表情を見て、やっぱりそうなのかと楽しくなってしまいました。
そこの土地の方たちは、それがほかでは滅多にないことだとご存知ない様子。
「張り替えますか?」と重ねて尋ねる私に、「古くなったら、そうですね」と答える顔には不審の表情が。
気味悪がられても困るので、それ以上太鼓がらみの質問をするのは控えて、帰京しました。
これは現地でたまたま得た知識。
小さな端末から入手した情報ではなかったせいでしょうか。
何年も経った今でも私の記憶にしっかりと刻まれています。