今、ゲラチェックをしています。
私にとってこのゲラチェックは結構しんどいものです。
今一度自分の原稿と向き合うのですが、どんどん不安が大きくなっていくんですね。
本当にこれでいいのか。
これを発表しても大丈夫なのか。
読むに値する作品だろうか――。
そんなことを考え出してしまうんです。
これはデビュー当時から変わりません。
ゲラには校正者と編集者からの指摘が書かれています。
漢字の間違いや、入力ミスなどといった点。
「いやぁん。恥ずかしいっ」と赤面してしまうような間違いが結構多いのですが、それをきっちり指摘してくれるので大変助かります。
こうしたイージーミスとは別に、ここでこのセリフは心情的におかしいのではないかといった、内容に関する疑問点なども指摘されます。
こうした時「仰る通り」と頷く場合と、「なし」と却下する場合と2つに分かれますが、どちらであっても即断できれば問題ないのですが・・・。
時に、んー、どうしようと迷うケースに出くわします。
校正者もしくは編集者が指摘した理由はよくわかる。なるほど。そういう読み方をする人もいるかもしれない。
が、この登場人物の性格からすると、その気持ちの流れは不自然になる。
なんて悩みだすと、もうどうしたらいいのか途方に暮れてしまうのです。
誤字脱字といった正解がはっきりしていることなら、正しい方を選択すればいいだけなのですが、正解がないものの場合は迷いが深くなります。
こんな時どうするか。
最近は掃除や料理をしています。
それまでもアイデアが浮かぶのが掃除や料理中ということが多かったので、意外と頭が活性化している時間のような気がしていました。
以前ゲラチェックで悩んでいた時、思い切って席を立ち掃除を始めたところ、解決策を思い付く経験をしました。
紙に印刷された文字を睨んで座っているより、身体を動かしている方が脳にはいいのでしょうか。
これを機会に迷った時は掃除か料理をするようになりました。
掃除や料理が終わっても結論を出せない時も勿論あるのですが、とにかく部屋が綺麗になったんだしとか、料理ができたんだしなどと自分を納得させることができるので、精神的に追い詰められなくて済みます。
皆さんは、迷った時どんな方法で答えを見つけていますか?
肌が弱いせいか、タオルにはこだわりが。
ふわふわの肌触りではあっても、洗濯機でガンガン洗うので耐久性がないとダメ。
ブランドロゴやプリント柄などは一切不要。
そういった柄などは使っているうちに色褪せてきて汚らしく見えてしまうので、白の無地がいい。
できれば、それほど高価じゃないものを、ネットで気軽に買いたい。
こうした諸々の希望をクリアしたネットショップがあったので、そこで買っていたのですが・・・私が愛用していた品は廃番となってしまいました。
しょうがないので、タオル探しのネット旅へ。
国産のタオルメーカーが集結していると有名な地がアップしているサイトを発見。
その地にある複数のタオルメーカーの品を、そこで選べて購入できる様子。
価格はそれまでのよりちょっと高いですが、一度トライしてみるかと選び始めたのですが・・・白の無地のタオルがメーカーごとにあって、ラビリンス。
結局、「すごいタオル」と謳うメーカーのタオルを選ぶことに。
メーカーがすごいというぐらいなのだから、すごいのだろうと信じることにして、商品が届くのを待ちました。
数日後届いた品を見ると・・・「すごいタオル」と書かれたタグがタオルに付いていました。
それがこちら。
私はてっきりHP上の売り文句だろうと思っていたのですが、商品名だったようですね。
それでタオルに「すごいタオル」のタグを付けちゃってる。
こんなに自分からハードルを上げちゃって大丈夫なのだろうかと、販売戦略への疑問が。
まぁ、とにかく使ってみることに。
使用後の感想は・・・まぁ、いいかも。
肌触りはやわらかいし、吸水性もしっかりあるので、使い勝手がいい。
なんの問題もない。
フツーならとってもいいタオル。で終わってるところ。
が、タグを見たせいでハードルをたか~く上げてしまい、期待値が最高点にまでいっていましたから、まぁ、いいんじゃない? といった冷めた感想になってしまうのです。
物を売るって難しいですね。
が、これ、プレゼントなんかにはいいんですね。
「見て見て。すごいタオルって自分で言ってるタオルなの」なんて言いながらプレゼントすると、結構ウケます。
タオルとしての質に問題はないので、ウケを狙いたい友人へのプレゼントには最適。
あーだこーだいいながらも、その後もこの「すごいタオル」を何枚も買い足しているので、私はこのタオルのファンなのかもしれません。
部屋の灯りにこだわる方ですか?
私はまったくこだわらずにいるため、神経質な方がいらしたら、叫び出すんじゃないかというような灯りになっています。
書斎とリビングスペースにあるソケットがちょっと特殊で、E11口金でハロゲン電球を使用するタイプ。
日用品をネット注文しているショップのカタログを見ると、確か以前は2色あったように思うのですが、いつからか取り扱いが1色のみになった模様。
しょうがないのでそれを購入。
が、それはそれまで私が買っていたのとは違う色の方だったようで、取り付けてみると・・・50センチ隣のソケットについている灯りとは明らかに色が違う。
さて、どうする。
思い付く方法は3つ。
1つは、もう1色のハロゲン電球を販売しているネットショップを探して買うというもの。
もう1つは、いつものネットショップで買える方の色に統一して、ほかの電球もすべて取り換えてしまうというもの。この場合9つのハロゲン電球を取り替えることになります。
最後の1つは、灯りの色がバラバラでも気にせず、そのまま使用するというアイデア。
どれを選んだか・・・灯りがバラバラでも死にはしないという論理を組み立て、気にしないことにしました。
トイレや玄関、ランドリールームのソケットは、よくあるE26口金のためLED電球にしているのですが、こちらはカタログによれば昼白色、電球色、昼光色の3色の取り扱いがある様子。
これも難題。
電球が切れたソケットと同じ場所にある、まだ切れていない電球を見上げてみますが、それをどれだけじっと見つめても、3色のうちのどの色なのかわかりません。
当然、以前買った時の記憶は私にはない。
で、どうするか。
勘に頼る。
昼白色あたりでいいんじゃないだろうか。
と、なんの根拠もなく決めて購入。
届いた昼白色のLED電球をソケットに差し込むと・・・あっ。違った。
50センチほど離れたソケットで輝く電球の色と違う。
さて、どうするか。
なんて、もう考えもしない。
また死にはしないというロジックでもって、放置。
打ち合わせなどでそこそこの数の来客を迎え、また友人らもやって来ますが、このバラバラの灯りについて突っ込まれたことはゼロ。
が、取材などでこの部屋の中で撮影をするということになり、カメラマンさんがやってくると・・・必ずおいおいといった顔になります。
光に敏感なプロのカメラマンにはすぐにバレるんですね。灯りがバラバラなこと。
そして「難しいなぁ」とぶつぶつ言いながら、露出計でいろんなところをはかり出す。
どうやら日常生活に支障はないものの、カメラマン泣かせの部屋となっているようです。
今はどこでも情報が取れる時代。
でも、そこに行かなければわからないことというのもありますね。
以前ある地方都市へ取材に行った時のこと。
タクシーに4人で乗車し、目的地に向かっていました。
ぼんやりと窓外の景色を眺めていたら・・・幹線道路沿いに、2軒の太鼓店が並んでいました。
「わっ。太鼓店が2つも並んでるっ」と思わず私は声を上げました。
そのタクシーに乗車していた4人は全員東京周辺の在住者。
太鼓店なんて見たことない。
それが2軒並んでる! というので、私と同じように驚きます。
すると運転手の男性が不思議そうに「珍しいですかね。太鼓店なんてたくさんありますが」と言いました。
さらに驚く私たち。
なんでも1人1個は太鼓を持っていて、それを張り替えたりするので太鼓店は結構あるのだとか。
1人1個持っている・・・そんな土地があるなんて思いもしませんでした。
知らなければ当然検索しようがない。
現地に行かなければわからないことでした。
年に1度の夏祭りが盛大で、そこでは首から太鼓を下げて、バチで叩きながら練り歩き踊るのだそうです。
なるほど。
それなら1人1個持ってないとね。
取材を終えて、帰り支度をしている時のこと。
同行し説明などをしてくださった広報の方に、来る途中で太鼓店を見かけた話をしました。
あなたも1個太鼓を持っているんですか? と尋ねると、とても不思議そうな顔をして「はい」との答えが。
なにを当たり前のことを聞いてくるのだろうといった気持ちがアリアリの表情を見て、やっぱりそうなのかと楽しくなってしまいました。
そこの土地の方たちは、それがほかでは滅多にないことだとご存知ない様子。
「張り替えますか?」と重ねて尋ねる私に、「古くなったら、そうですね」と答える顔には不審の表情が。
気味悪がられても困るので、それ以上太鼓がらみの質問をするのは控えて、帰京しました。
これは現地でたまたま得た知識。
小さな端末から入手した情報ではなかったせいでしょうか。
何年も経った今でも私の記憶にしっかりと刻まれています。