ピアノを
- 2015年02月02日
小学生の頃ピアノを習わされていました。
この「習わされていた」という部分にぜひとも注目していただきたい。
当時のポピュラーな流れでは、まず子どもがどこぞでピアノという存在を知り、それを弾くという行為を見て「私もやりたーい」となり、親に嫌がられるほど「ピアノやりたーい」を繰り返し訴えた結果、根負けした親が「しょうがないわね」とピアノ教室を探し始めるといったものでした。
が、我が家は違った。
まず親に妄想があった。
娘が自宅でピアノを弾くというシーンに憧れをもっていた。
なんでかはわかりません。
そんなテレビドラマでも見たんでしょうか。
で、子どもの意向も確認せず、いきなりピアノを購入。
ある日、小学校から帰ったら、自室にピアノがデーンと鎮座していた。
「げっ」と私は言います。
言いますよ、そりゃ。
ピアノなんて欲しくなかったのに、いきなり狭い部屋に大きな存在感のモノが登場してきちゃったんですから。
それから地獄の日々が。
親が見つけてきたピアノ教室は、駅前の書店の2階にありました。
週に1度のレッスンが嫌で嫌でしょうがない。
それでいつも書店でぐずぐずとして、なかなか2階に行かない。
結局、いつも遅刻。
練習しないから上達しない。
その教室には、ピアノが自宅にないのに、レッスンに通って来ている子がたくさんいました。
我が家にはピアノがあるのに、ピアノをもっていない子たちの方がどんどん上達していく。
熱心なんですね、その子たちの方が。
「ピアノあるなんていいな。練習しに遊びに行っていい?」なんて聞かれて、「うん。いいよ」と私は答えます。
で、ピアノを弾くために我が家に遊びに来る子たちの列ができる。
友達が遊びに来た時には、普段は決して出てこないちょっとリッチなオヤツが出てくるので、私はそれを喜び、食べるだけ。
一緒にピアノの練習はしない。
練習をしている子の背後でオヤツを食べているだけ。
ここら辺でようやく親は気付くんですね。
ピアノを買ったのは失敗だったと。
それからどれくらいの期間、行きたくもないピアノ教室に通わされていたのか記憶ははっきりしません。
ピアノ自体はOL生活をする頃までずっと部屋にありました。
棚としての活用しかしていませんでしたが。
鍵盤蓋や天屋根にアクセサリーケースやセーターなどをのせていました。
私にとっては地獄のピアノ教室でしたが、あそこからプロのピアニストになった人がいたのでしょうか。
我が家に遊びに来ていた子たちのなかには?
もしピアニストになった子がいたら・・・我が家のピアノが役に立ったということで、無駄な買い物ではなかったことになるのですが。