雨
- 2015年02月26日
雨の日は好きですか?
髪が広がるから大嫌いという友人がいます。
どうやってもまとまらないからと言うのですが、彼女の晴れの日の状態との違いが私にはわかりません。
私はどうかというと、雨の日は結構好きです。
いつもより一段階トーンダウンしたような感じは、落ち着ける気がするから。
が、これは室内にいる場合のこと。
出先で突然雨に降られてしまったなんてことになると、話は違ってきます。
買ったばかりのヌバックの靴なんか履いていた日にゃ、天に向かって呪いの言葉を吐いてしまいます。
小説の中で雨のシーンを時折登場させてきました。
「エデンの果ての家」では、嵐の中を歩く父親を、室内にいる息子が見つめるシーンを書きました。
いる状況の違いを書くことで、二人の遠い距離感を描けたらとの思いからでした。
最新刊「僕とおじさんの朝ごはん」では、おじさんが山を仰いでいる時、雨が降ってくるというシーンがあります。
それを潮に元の場所に戻り出すのですが、段々激しくなっていく雨足の中、急ぎ足になるおじさんを描きました。
おじさんを取り巻く孤独感が、日常的なもでのあることを窺わせるシーンになっていれば成功なのですが、どうでしょう。
このおじさんは高校生の時の親友から、雨にまつわるエピソードを聞いたことを思い出します。
それを真似した自分の過去の記憶も一緒に蘇ります。
大人になってみると、くっだらねぇと笑える出来事も、若い頃は真剣だったりするんですよね。
時間の経過と若い頃の単純さを描きたくて書いたシーンです。
男性の中には傘を差すのが嫌いとか、傘を差したくないとのポリシーをもっている人がいますね。
どれくらいの確率で存在する人なのかわからないのですが、私の周りには結構います。
並んで歩いていて雨が降ってきた時、私が傘を差しだすと「いえ、大丈夫です」と言うのです。
いや、大丈夫じゃないでしょ。雨降ってるし、あなた濡れてるから。
と思うのですが、頑なに拒否する。
「でも、濡れちゃうから」と私も意固地になって、なおも傘を差し掛けると「傘、あんまり得意じゃないんで」などと言う。
得意とか不得意とかのジャンルの話じゃないってと、若い頃の私はそれでもしつこく「風邪、引くよ」などと言って傘を差し掛けようと挑戦し続けました。
あまりに拒否されるうち、私と1本の傘の中に入ることは恥になるんかい? と絡みたくなることもありました。
が、最近では「なんと、お前も、傘差し掛けられたくない派かい」と心の中で思うぐらいで、「あっそ」とすぐに傘を引っ込めて自分だけが入ります。
年齢と経験が、こういう変化を私にもたらせるんでしょうね。
最近では「立派な武士のようですな」とコメントするぐらいの人間になりました。
さらに「拙者、傘は差しませぬってか?」と武士風のセリフを言って、からかうぐらいの大人になりました。