会議で
- 2015年05月21日
会社員時代浮かんだ疑問を口に出していい時と、いけない時があると知りました。
当時勤務していたのは靴のメーカー。
月末になると営業部のスタッフたちの顔色が険しくなりました。
私がぶらっと営業部のあるフロアに下りていくと、その殺気立った気配に「なんだ、なにがあった?」ときょろきょろしたもんでした。
なんでも大抵の取り引き先の支払いは、27日から31日までの数日に集中しているとか。
大方のスタッフが目標額に到達していないので、慌てて取り引き先を周り注文を取ろうとする。
このため月末になると、営業部には切羽詰まった感が漂うとのこと。
そう耳にした私は、各部署のスタッフが出席する会議で頭に浮かんだ疑問をぶつけました。
「会社の売り上げを考える時の締日を、月末じゃなく15日とかにするのはダメなんですか?」と。
数日で売上を挽回するのは難しいだろうが、もう少し時間的余裕があれば、計画的な営業活動をしやすくなるのではとの考えでした。
たちまち部屋に溢れていく気まずさを、今でもはっきりと覚えています。
反対意見は出ず、だからといって賛同も得られず、そうかといって無視はできない類の質問だったのか、室内にはただ密度の濃い空気が充満していく。
その時、昼休憩開始を知らせるチャイムが鳴りました。
その場にいた全員がほっとしたような顔をしたのも、鮮明に記憶しています。
自分の持ち物を手にどんどん部屋を出て行く皆を見送りながら「マズいことを言いましたか、私?」と隣の上司に小声で尋ねると、「マズいことじゃなかったから、困ったんだろう」とのコメント。
ランチを終えて、午後1時から会議は再開されました。
が、淡々と売上や業務の報告が続くばかり。
どうやら午前中の私の質問はなかったことにするつもりのようでした。
私の意見を採用しない、一考する価値もないと判断したのは誰だったのか、またその理由も不明です。
それから5年後、私がその会社を辞めるまで会社の締日は月末のままでした。
月末になると営業スタッフが青い顔をするのも。
会社という組織の中では、慣例を変えるにはとてつもなく大きな勇気が必要だと学んだ一件でした。
あなたの会社はどうですか?