文庫「頼むから、ほっといてくれ」が発売になります。
- 2015年12月03日
文庫「頼むから、ほっといてくれ」が発売になります。
12月4日から書店に並び始める予定です。
トランポリン競技に青春をかける選手たちを描きました。
といっても選手だけでなく、親やコーチ、審判員といった人たちも登場しますので、競技にあまり興味のない人も楽しんでいただけるのではないかと思っています。
私はスポーツ観戦が好きです。
まるで人生の縮図のようだから。
一生懸命努力しても報われないことが多いし、環境や資質に差があって不公平だったりもする。
緊張が本来の力を奪うこともあるし、怪我というピンチもある。
そうした喜びと苦しみがぎゅっと凝縮されたものを、スポーツ選手に見るのです。
勝った者、負けた者、すべての人にドラマがあって人生がある・・・目が離せないってもんです。
またアスリートの発する言葉は心に響きます。
たとえば・・・「自分を信じて」という言葉をアスリートはよく言いますね。
これ、多分自分を信じられなくなることがしょっちゅうあるんだと思うんです。
その裏返しとして「自分を信じて明日の試合に臨みます」と自分に言い聞かせるようにコメントをするんじゃないでしょうか。
作家稼業も自分を信じられなくなる毎日です。
今日書いた原稿は、少しはましなものだったろうか。
方向性をまったく変えて、違う作品にした方がいいんじゃないか、なんて不安を抱えています。
でも答えは誰ももっていないので「これでいいんだ」と自分を説得して、翌日も原稿の続きを書きます。
これを半年近く続ける毎日。
不安な状態が長く続きますから、毎日「自分を信じろ」と己に言い聞かせなくては、とてもやっていられません。
この時の心情が、アスリートの心情に近いように思い、勝手に親近感を覚えています。
毎日の地味な練習が結果に繋がると信じて不安を吹き飛ばすしかないアスリートの言葉が胸に刺さってくるのも、私が抱える心細さに似ているように思えるのです。
「頼むから、ほっといてくれ」がスポーツ選手の話といった面だけでなく、様々な人生の素晴らしさと苦さを味わえる小説になっているといいのですが。
興味をもたれた方は、是非ご一読を。