締め切り
- 2016年06月13日
どんな仕事にも締め切りはありますね。
いつでもいいよ~なんて仕事があったら、それは疑った方がいいでしょう。
期待されていないか、裏があるかのどっちか。
で、作家にも締め切りは当然あります。
なにかに連載している場合は。
発売日が決まっているので、印刷所に渡さなくてはいけない日が決まってきて、そうすると原稿を上げなくてはいけない日というのが自ずと決まってきます。
お尻に火が付いた方が頑張れるタイプであれば、こうした締め切りはとても有効。
ですが、私のようにお尻に火が付いても、その火をただじっと見つめているだけのようなタイプには、締め切りはまったく効果がありません。
執筆スピードが上がったり、アイデアが浮かんだりしないんですから。
このため原稿がアップするのを待っていただき、アップしたら発売時期をご相談しましょうといった順にしていただいています。
そうはいっても心配ですよね。
「本当に書き上げるのか、お前」と、私が編集者の立場だったら思います。
そこで、逐次進捗状況を編集者に報告するようにしています。
新刊「総選挙ホテル」の時もそうでした。
時折編集者にメールをして、現在の段階がどこら辺なのかをお知らせしました。
その際、箱根駅伝にたとえるようにしています。
「箱根駅伝にたとえると、3区に入ったところです」とか、「やっぱり6区の山下りはしんどくて、時間がかかってます」といったメールです。
この私の話を、編集者がどこまで信じているかはわかりませんが、ひとまず現状を知り、逃亡してはいないと判断して貰えるようです。
「総選挙ホテル」を執筆中、編集者に4区走行中とメールをした翌月に、まだ4区だとメールをしなくてはいけなかった時、深く深く反省しました。
どうして4区を1ヵ月の間ずっと走っていることになったのか、どうして5区の走者にたすきを渡せないのか、原因を考えてみました。
筆が止まったといった感覚はありません。
そこで、その1ヵ月間のスケジュール帳を開いてみると・・・いわゆる雑事に猛殺されていたことが見て取れました。
問い合わせのメール、打ち合わせ、取材・・・こうしたことに精一杯になり、執筆の時間を全然確保できていなかったことに気付きました。
このままではいかんと反省し、1日の仕事の時間割を見直しました。
執筆時間と雑事をする時間をきっちり分け、どちらも互いを侵食しないように心掛けてみることに。
すると、それまでより執筆が捗るようになりました。
この時間割を守るようにしてからは、編集者へのメール報告もし易くなりました。
進捗が遅い時には、言い訳をあれこれ考えなくてはいけなかったため、気の重いメールでしたが、スピード感が出るようになってからは、気持ちが随分軽くなったからです。
「総選挙ホテル」の当初予定していた原稿アップは去年の秋でしたが、今年になってようやく完成しました。
いやぁ、良かった。
もう原稿が遅れている言い訳の在庫を出し尽くしてしまい、次の言い訳を思いつけないぐらいだったもので。