手
- 2018年06月11日
メイクや髪型、ファッションを工夫することで、年齢不詳となった女性が増えています。
インタビューなどで初めてお会いする方の年齢を当てるのが、年々難しくなっていると感じています。
そんな時には手を見ます。
手にはその人の暮らしぶりが表れているように思っていて、その手からあれこれ想像するのが好きなのです。
久しぶりにあった友人の手を見たら・・・節々が太くしっかりとした肉厚の手をしていました。
家事や育児に奮闘してきた彼女の頑張りが現れている手だと思いました。
昔のように華奢なリングは似合わなくなってしまったけれど、生き様が刻まれたその手は格好いい。
その迫力が出た手に負けないような、大ぶりのリングをすればいいってだけのこと。
それじゃ自分の手はどうかというと・・・昔は苦労してない手だねとよく言われました。
当時から自炊し家の中のことを自分でやっていましたが、何故か私の手には苦労が出ない。
なんにもしてない手だと言われる度、そんなことないのにと、ちと口惜しかった。
そんな私も年を重ねた今では、手にしっかりと時が刻まれています。
年齢と共にごつくなってしまうのは仕方がない。
せめてかっさかさな状態は避けようと、水回りにハンドクリームを配置してあります。
手を洗ったらすぐにクリームを塗れるようにとの思いから。
10年近く愛用しているのはジェルタイプのもの。
潤い成分が手にすぐに浸透して、べたつかないのが気に入っています。
浮気心を起こしたこともありました。
買い物をしたらオマケとしてサンプルが入っていたとか、溜まったポイントを交換する時に、そこでお勧めされていたハンドクリームを選んだ、なんてことで試す機会が訪れるのです。
しかし残念ながら固すぎて伸びが悪いとか、べたつきが強過ぎるといった点が気になる。
そして結局それまで使っていたものが、やっぱり一番いいと再確認するのでした。
先日ある方のお宅にお邪魔した時のこと。
主である70代の女性が緑茶を淹れてくれました。
脂肪がすっかりそぎ落ちたといった手をしていました。
色はややくすんでいます。
短くカットされた爪にはなにも塗られていません。
触れたなら、少し痛みを感じるのではないかと思うほど筋張っています。
その手は、凛とした雰囲気の女性の手として相応しいものだと感じました。
そうして出された緑茶はとてもまろやかな味で、その落差もまたいいなと思いました。
自分には厳しく、他人には優しい、そんな人なのではないかとその手から想像しました。
1時間ほどの対面では、その女性のごくほんの一部分を覗き見させていただくだけで精一杯。
なので、私の想像がご本人と近いのか遠いのかはわかりませんでした。
いずれにせよこれから自分の手に、どんな時が、どんな暮らしぶりが刻まれていくのかを楽しみにしたいと思いました。