文庫「総選挙ホテル」は本日発売開始です
- 2019年11月21日
小説「総選挙ホテル」の文庫版が、本日から店頭に並び始めます。
是非本を手に取ってみてください。
カバーのデザインは単行本の時とは違っています。
同じイラストではあるのですが、単行本と文庫ではそのサイズに違いがあるため、人物が減りレイアウトも変わりました。
爽やかで上品な仕上がりになっていると私は思うのですが、いかがでしょうか。
カバーに様々な人が描かれているのは、この小説の中に様々な人が登場するから。
社長、支配人、フロント、宴会、清掃・・・ホテルには多くの仕事があって、業務を分担してサービスを提供しています。
物語の中のホテルでは売り上げが落ちていて、それを食い止めるために様々なことが検討され、実施されてきました。
スタッフたちは数え切れないほどの会議をしてきたのです。
何度会議を重ねてもそこで出た結果が、ホテルを正しい方向へ進ませてくれるとは限らない。
これ、会議の不思議の一つですね。
いち社員がもっているアイデアが起死回生のナイスなものであっても、何度も会議を経ていくうちに、どこかでストップしてしまう。
そして結局出された結果は、なにそれ? といったものだったりする。
サッカー日本代表の新しいユニフォームをご覧になりましたか?
ブルーなのはこれまで通りなのですが迷彩柄なんです。
初めて見た時に感じたのは「よく、それが会議で通ったな」といったもの。
決定までの間に恐らく何度も会議が行われたはず。
その中で誰も「それはなくない?」と言わなかったのか、言ったけれどなんらかの力学によって、口にすることが出来ない状況だったのでしょうか?
そもそもユニフォームを数年に1度モデルチェンジする意味は?
ユニフォームのレプリカを買わせたいとの、商魂からの発想なのでしょうか。
選手たちのパフォーマンスをサポートするために、ユニフォームの素材や縫製の開発が行われて、最先端のものにするため・・・というなら受け入れましょう。
でもデザインを変える必要ってありますかね。
サポーターはその度に、新しいものを買わざるを得なくなってしまう。
ボールを蹴る訳じゃないので、こっちは最先端の素材でなくても構わない。
だから見た目のデザインは同じものにしていただきたい。
そうすれば5年前に買ったものでも、堂々とスタジアムに着て行ける。
この「よく、それが会議で通ったな」と呟く機会は結構あって、最近では山手線の新駅の名が「高輪ゲートウェイ」だと知った時に、そう思いました。
昭和の人間のせいでしょうか?
「鶯谷」とか「日暮里」とかの駅名の方が、美しいと感じてしまいます。
鶯が鳴く谷とか、日が暮れる里の方が、趣きがあっていいように思うのです。
小学生の頃に一人で電車に乗っていたら、アナウンスが次の駅が「たまプラーザ」だと言うのを耳にした時、「それはないだろう」と心の中で突っ込んだ記憶があります。
その時は子どもだったので、大人って不思議といった感想だったのですが、現在は「よく、それが会議で通ったな」に変わりました。
会議の不思議、大人の不思議・・・。
働いていると、こんな不思議にしょっちゅう直面しますよね。
「総選挙ホテル」でも社長がとんでもないことを言い出します。
スタッフたちは不思議がっている暇もなく、右往左往します。
混乱の中からなにが生まれていくのか・・・「総選挙ホテル」を読んでみてください。