サビカラ
- 2025年08月04日
スマホで映画を倍速で観る人が増えていると聞き、驚いたのは何年前のことだったか。
イントロが長いと嫌われるので、すぐに歌が始まる曲が増えたと聞いたのは、それからすぐ後だったような。
そして今日。
新聞に紹介されていた「サビカラ」の言葉に、またまた衝撃を受けました。
サビの部分だけを歌えるカラオケのことだという。
1曲丸々歌わなくていいと思う人がいるんですね。
タイパからの発想なのでしょうか。
作曲家の気持ちやいかに。
そして急に不安になりました。
そのうちに小説も、クライマックスから始まるようにしてくださいと、編集者から言われるようになったりしたら・・・。
幸いにも今のところ、そういったことを言われた経験はありませんが、いつリクエストされるか分かりません。
徐々に登場人物たちを知っていって、少しずつ彼らに感情移入して、彼らと一緒に一喜一憂して・・・というのが小説の楽しみ方だと思っているのですが、結果だけ知ればいいという人が増えたら、それに応えようとする作家が出てくるかも。
これまで様々な媒体の取材を受けてきました。
その中でしばしば聞かれるのが、どうやって小説のアイデアを発想しているのかという点。
浮かんだタネをどうやって形にするか検討して、物語にしていくと答えるのですが、最近、これでは納得してくれない人が増えました。
タネをどうやって浮かばせるのかと聞いてくるのです。
具体的な手順を知りたいようです。
最短で答えを知りたい読者のために、インタビュアーはハウツーを、聞こうとするようになっているのでしょうか。
でも小説のアイデアを発想するのに、決まった手順なんてありません。
ふと、思いつくのです。
それだけなんです。