理想のタイプ

  • 2025年09月22日

小娘だった頃。
好きなタイプの男性について、友人らとあれこれ語り合い盛り上がっていました。
楽しいひとときです。

皆、好き勝手な妄想を膨らませて、理想の異性のタイプを作り上げていく。

で、実際に友人に彼氏が出来る。
友人らに彼氏を紹介する場が設けられて面通し。

初めて対面した彼氏を見て「好きなタイプの話はどこにいった?」と毎度つっこむことに。
散々聞いてきた理想のタイプとは似ても似つかない人を、彼氏だと友人らに紹介出来る勇気にびっくり。

理想のタイプまんまの人と出会えればいいけれど、世の中はそんな風にはなっていない。
好みのタイプとは遠い人なのだけれど、ちょっと気になるようになって、一緒にいる時間が楽しくなっていく。
そして交際。
友人らに紹介すれば、総ツッコミを受けるであろうことは分かっているけれど、ま、いっかといった心持ちになっているのであれば、その交際は順調に進んでいく確率高し。

新装版の文庫が発売された「嫌な女」に登場する夏子は詐欺師。
男たちから小金をせしめて生きています。

そんな夏子が結婚した相手は、意外な人でした。
夏子の尻拭いをさせられてばかりの弁護士、徹子は、彼女が結婚したことに驚くのですが、その相手を見て更に驚きを深くします。

男は地味でお金持ちじゃないのです。
夏子にどんな心境の変化があったのだろうかと徹子は思います。

この徹子もまた、彼女なりの理由で結婚し、その後紆余曲折が。
徹子が勤める弁護士事務所の所長にも色々ある。
他の登場人物たちそれぞれにも、色々な結婚生活があります。

様々な事情と選択があって、成り立っている暮らし。
嵐に襲われた時に身を寄せ合って過ぎ去るのを待つのか、それともバラバラで逃げるのか。

「嫌な女」は十人十色の人生を味わえる小説ですので、ぜひお買い求めを。

美容院を

  • 2025年09月18日

これまでどれだけの美容院を転々としたか。

あなたはずっと同じ美容院に通っていますか?
それとも毎回違うところ?

小学生の頃は、自宅から一番近くにある美容院に行っていました。
近所の子どもも大人も皆、そこに行く。
だからなのか、近所の住民たちはほぼ同じ髪型でした。

中学生になると、ちょっとこじゃれた美容院へ15分ぐらい歩いて行くように。
一番近い商店街ではなく、大きな商店街まで歩き、そこに店を構える美容院に。
たったそれだけのことなのに、母親からは「お年頃ね」などと冷やかされました。

高校生になると、電車で十分ほどの大きな街にある美容院に鞍替え。
成長して行動範囲が広がるにつれて、美容院を見つけるエリアも広がりました。

大学生になると、雑誌で見つけたオシャレな美容院を予約。
わざわざ銀座で髪を切って貰っていました。

私の美容院に傾ける情熱は、この時点がピーク。
やがてどこでも同じという結論に辿り着き、美容院選びの視点が変わりました。

まず便利な場所にあること。
自宅か職場から徒歩10分以内で、予約方法が簡単で、待たされず、手早くやってくれて、料金が安いところ。
この条件に合う美容院を転々としてきました。

そして遂に私にとっての終着点を発見。
それは自分でカットするという方法。
この便利さを知ってからはもう戻れない。
このままセルフカット道を突き進んでいく所存です。

新装版となって刊行された小説「嫌な女」には、美容院の店主が登場します。
主人公の一人である夏子と、トラブルになります。
困った夏子は、遠戚である弁護士の徹子に連絡。
解決を委ねます。

夏子の主張と、美容院の店主の主張には大きな違いが。
真相を知るために徹子は調べ始めます。
そこで見えてきたものは・・・本書でご確認ください。

年齢

  • 2025年09月15日

本日は敬老の日。
人生の先輩を敬っていますか?
人生の後輩から敬われていますか?

すべての人は平等に年を重ねていきます。
これをどう捉えていますか?
抗っていますか?
それとも受け入れていますか?

私は楽しみたいなと思っています。
「こんなこと昔はなかった」と驚くこともしばしばですが、加齢を今、経験中なのだと考え、しょうがないかぁと笑って過ごすようにしています。

新装版文庫「嫌な女」に登場する人物たちも、小説の中で年を重ねていきます。
弁護士の徹子は、若い時には甘く見られないよう、実年齢より年上に見せようとしていました。
月日を重ねて、そんな工夫をする必要がなくなります。
加齢を受け入れているような徹子ですが、これだけは譲れないというラインが。
それが靴。
詳細は小説で。

一方の夏子は抗う。
必死に若作りをします。
はたから見ていると痛々しいぐらいの悪あがき。
そんな夏子ですが、実は人一倍自分の年齢をシビアに見る目ももっている。
なにせ夏子は男たちを騙して、小金を巻き上げなくてはいけない。
若い頃と同じ手法では通じないことは、身をもって知っているのですから。

だから年齢と時代に合わせて、騙す手法を変えていきます。
まるで老舗の優良企業のよう。
根幹は変えずに、時代に合わせてチューニングし、商品の売り方を変えていくという手法を取っているのです。

やり手ともいえる夏子ですが、残念ながら詰めが甘い。
しばしばトラブルに陥ってしまう。

年を重ねても全然変わらない部分と、年を重ねて変わった部分、どちらもあるのが人間。
徹子と夏子の年の重ね方を、味わってみてください。

新装版文庫「嫌な女」が発売になりました

  • 2025年09月11日

新装版文庫「嫌な女」が発売になりました。

今回新装版を発売するにあたり、改めて原稿をチェックしました。
すでに発表した小説を改めて読む作業は、こっぱずかしい。
当時はこんな風に表現したのかとか、ここでその展開にしたのかとか、昔の自分に驚いたりもします。
また数年しか経っていないのに、遠い昔の自分の心の内を見せられているような感覚も味わいます。

この「嫌な女」を執筆したのは15年以上前。
だからでしょうか。
普段より恥ずかしさは感じませんでした。
どちらかというと、同窓会で久しぶりに友と会ったような感覚でした。
元気だった?
変わらないねぇ。
今、なにしてるの?
と、登場人物たちに尋ねたいような気持ち。
だから今回の原稿チェックは、懐かしい人と久しぶりに再会出来た楽しい時間となりました。

この小説にはたくさんの人物が登場します。
「主人公である徹子と夏子以外で、好きな登場人物は?」と、取材で何度か聞かれました。
このような時に私は「芸者さん」と答えました。
すると取材者は大抵「芸者さん?」と首を傾げます。
1シーンにしか登場しない脇役なので、覚えていないのも当然。
多くの読者は脇役として、さらっと流してしまうでしょう。

でも私は彼女にとても心惹かれているのです。
この芸者さんは銜えタバコをしながらスクワットをして、夏子への思いを語ります。
この健康に気を遣っているんだか、いないんだか分からない矛盾だらけの人。
こういう人に私は強烈に惹かれます。

人にはいろんな面があって、相反することも同時に抱えています。
そういうおかしなところを、愛おしいと思うのです。

芸者さん以外にも、個性的で魅力的な人物がたくさん登場するのが「嫌な女」です。
ぜひお楽しみください。


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