写真を

  • 2025年09月25日

観光地で、「写真撮って貰えますか?」とカメラを渡される確率が、私はとても高いです。
例えばこっちが4人連れでいたとして、そう言われるのは私だけ。
ぼんやりしていて暇そうに見えるのでしょうか?

写真を撮ってあげるのは全然いい。
だが問題がひとつ。
私は写真を撮るのが下手なのです。

大抵「ここを押して貰えばいいんで」と言われます。
この台詞には、オートフォーカスなので、ボタンを押せばどんな人でも上手に撮れるんで、心配しないでねといった意味合いが含まれているように思います。

が、こうした予想を簡単に覆すのが私。
なにが主役なのか分からない写真を撮る天才でもあります。
なにがいけないのか。
センスでしょうか?
結局、私は期待を裏切るレベルの写真を撮って、カメラを持ち主に返すのでした。

昔、靴のメーカーで会社員をしていた頃は、商品をPRするのが仕事でした。
普通の会社であれば、プロのカメラマンに依頼して、商品を200パーセント素敵に見せるような写真を用意します。

が、私がいた会社の予算はゼロ。
プロに頼むお金がない。
だったら、どうする?
自分でするしかない。
と、こういう哀しい理由で、この私が写真を撮るはめに。

会社の一眼レフで靴を撮影。
しかしながら使えるレベルの写真が一枚もない。
商品を実際より悪く見せている写真ばかり。
これには困りました。
結局、会社内で写真が上手な人を探し出し、その人に拝み倒して撮って貰っていました。

新装版の文庫が発売になった「嫌な女」には、写真館でのエピソードがあります。
男から小金を巻き上げて暮らしている夏子が、写真館にやって来ます。
男と二人で写真撮影に臨みます。
本気で男とのツーショット写真が欲しいのか、それとも騙すための作戦のひとつなのか。
二人は写真を撮って貰い帰って行きます。

が、これには後日談が。
夏子と写真館の館主の間で、ちょっとしたトラブルが。
その理由がなんとも夏子らしいものでした。
興味を覚えた方はぜひご購入ください。


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