東京駅
- 2012年12月17日
新しくなってから、初めて東京駅へ行きました。
ロマンチックでありながら、威風堂々とした佇まいは、とっても素晴らしかったです。
現在の画一的な駅舎と比べると、そのセンスの高さには、脱帽。
素敵な建造物は、時代と関係なく、素晴らしいものなんですね。
寒い日だったのですが、駅舎をスケッチするグループがいました。
ちらちらと拝見すると、皆さん、とてもお上手でした。
スマホで撮影している人もたくさんいて、建設当時の姿に生まれ変わった東京駅を、好意的に受け止めている様子が窺えました。
以前から、どこに住みたいかと聞かれると、「東京駅」と答えるぐらい、東京駅という存在が大好きです。
大勢の人が、あっちこっちからやってきて、交わるところ。
たくさんの人のドラマがぶつかる場所。
駅に降り立っただけで、わくわくします。
東京駅構内にある、待ち合わせ場所「銀の鈴」も、特に好きな場所です。
多分、1日いても飽きません。
東京駅近くの書店に資料探しに行った時など、誰とも待ち合わせなんかしていないのに、「銀の鈴」へ行きます。
しばらくそこで座って、そこで待ち合わせしている人たちを観察させてもらいます。
小さなバッグを1つ、膝にのせて、放心状態の様相をした50代の女性。
静かに涙を流している初老の男性。
なにがあったのでしょう。
こんな、気になる人がたくさんいる場所。それが「銀の鈴」。
以前、いつものように、用もないのに、座っていたら、ヒールの音も高らかに、女性が歩いてきました。どうやら、私の隣席の男性に向かってきているようです。女性に気付いた隣席の男性が、たちまち緊張した気配が伝わってきます。
と、女性が男性の前で立ち止まりました。
そして、女性が、男性の頬をパチーンと、平手打ち。
うわっ。
びっくりした私は、じっと二人を見つめます。
やがて、男性が頬を抑え、小さな声で「なにすんだよぉ」と言いました。
女性は鬼の形相で「叩いたのよ。刺されなかったんだから、感謝すんのね」と言い放ちました。
そして女性は「来なさい」と命令すると、身体をくるりと回して、歩き出します。
男性は立ち上がり、すごすごと、女性の後に続きました。
あのー、できれば、話し合いは、ここでしてもらいたいんですが。
と、声を掛けたくなりましたが、ぐっと呑み込んで我慢しました。
二人になにがあって、これからどんなドラマが始まるのでしょう。
火のついてしまった好奇心を持て余し、見えなくなるまで、彼らの姿を追いました。
このように、たくさんのドラマが交錯する場所なんですね、東京駅は。
素敵な駅舎と、ドラマを見に、また行こうと思います。