文庫「嫌な女」の発売

  • 2013年05月13日

「嫌な女」の文庫が発売になります。
5月14日(火)から書店等に並び始めます。
単行本を買いそびれた方(!)は、この機会にどうぞお買い求めください。
P1010125
文庫化にするにあたって、改めて原稿をチェックする作業を行います。
原稿を書いた時から、およそ3年が経っています。
3年ぶりに自分の原稿と向き合う時の気持ちを、言葉にするのは、なかなか難しいもんです。
そうそう、ここ、苦労したんだったわ、と思い出したり、あれっ、こんなこと書いてたんだと驚いたり・・・。
基本的には、単行本を出した時の気持ちを第一にして、修正は最低限に抑えるようにしています。
原稿を読んでいると、様々なことが思い出されてくるのですが、それらは大体、細かいことでして。
そういえば、まだ書き出す前の打ち合わせで、麻布のカフェがドアを開け放していたために、すっごい寒くて、コートを脱げないままだったなぁとか。
別の打ち合わせの日には、下ろしたてのバックベルトのサンダルがきつくて、何度も、ベルト部分を下ろしてしまおうかと考えるあまり、なかなか集中できなかったこととか。
そうした思い出の中で、最も強い記憶となって残っているのは・・・書き終えた時のこと。
全身から力が抜けてしまい、椅子にちゃんと座っていることさえできず、床に蹲りたくなるような感じでした。
それから放心状態に陥り、随分長いこと、白い壁を眺めていました。
私としては、かなり難しい挑戦をした作品でしたので、「おっしゃー」と雄叫びを上げるとか、思わずガッツポーズを取ったとか、そういうはっきりとした喜びの瞬間が訪れるのではないかと、少し期待していたのですが・・・。
実際は、白い壁を見つめ続けるという、とても地味な原稿アップのシーンとなりました。

かなり綿密にプロットを作ってから、書き始めるのですが、その通りに進むかというと、全然そうはならず。
プロット通りになるのは、半分ほど。
残りの半分は、キャラクターに委ねてしまいます。
キャラクターが、思わぬ行動を取り始めたら、もう私はついていくだけ。
と、こんなことを言うと、「あなたが書いているんだから、あなたのさじ加減ひとつでしょうよ」とごもっともな意見を賜ることもあります。
至極まっとうな指摘です。
でも、残念ながら、私のさじ加減では、どうにもならないんです。
ここら辺の不思議な感覚は、なかなかご理解いただけないのですが。
「嫌な女」でも、登場人物たちが、私の意図とは違う動きをして、私も戸惑うということが結構ありました。
彼女たちの生き様に、最後は拍手を送りたくなっていたのも、作者としてよりは、友人のような感覚が強かったせいかもしれません。
二人の女の生き様に興味をもたれましたら、ぜひ、ご一読を。

ブログ内検索

  • アーカイブ


  • Copyright© 2011-2025 Nozomi Katsura All rights reserved. No reproduction and republication without written permission.

    error: Content is protected !!
    Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.