カップルのこれから
- 2013年10月03日
電車の中でのことでした。
二十代に見える男女のカップルが、私のすぐそばに立っていました。
近くにいたロングヘアーの女性を目にした男が言います。
「ああいうの、いいよね。綺麗じゃん」と。
さらに女に向かって「長い髪にしてみたら」と言い出しました。
女は癖があるので、広がってしまって、ロングヘアーはできないのだと説明すると、男は「あー、はいはい」と嫌そうな声を上げました。
まるで、君はいつもそうやって、僕の提案を否定するよねとでも言いたげな感じです。
が、嫌そうな声を上げるべきなのは、女の方なのです。
そもそも、自分の彼女のヘアスタイルや、持ち物などに、あれこれと口を出すような男はろくなもんじゃないのです。
自分の好みを押し付けてくるような男と付き合って、幸せになった女はいません。
私の周りでは。
程なくして、男は車内に落ちていたピアスを発見したようでした。
「あれ、ピアスじゃない?」と言い出し、女に拾わせました。
そして男は「してみたら」と、またも余計なことを言い出します。
落ちていたピアスを付けてみるという感覚そのものが、私には理解不能でしたが、女は抵抗する素振りを一切見せず、自分の耳に付けようとトライをし始めました。
女は「しばらくしていなかったから、穴が塞がっちゃってる」と言いながらも、なんとか付けようと努力をしている模様。
さらに、留め具がないから、穴に刺さったとしても、落ちちゃうと思うよと、男に説明までしています。
しばらくして聞こえてきた女の言葉は「ほら、すぐ落ちちゃう」というものでしたから、ピアスを付けることに成功したのでしょう。
すると「そういう可愛い感じの、いいよね」と男は言い、明日あるらしい仲間での集まりにしてくればいいと続けました。
女が「これを?」と驚いたような声を上げると、男は「バカだな、違うよ。そういう感じのを、買ったらってことだよ」と小馬鹿にしたような声音で返しました。
今月は、もうお金ないからと女が言うと、男は「あー、はいはい」とまたもや嫌そうな声を上げました。
あーだこーだ文句を言うなら、買ってやれよ、と思わず私は男に対してツッコんでいました。勿論、心の中で。
口を出すなら、金も出せ。
これ、鉄則です。
金を出さないなら、口を出すな。なのです。
二人は駅に降りて行き、私は車内からその姿を目で追いました。
手を繋いでホームを歩く二人は、幸せそうでした。
が、二人のこれからがバラ色には思えないのは、老婆心でしょうか。
もし、人生経験が豊富な私の友人たちが賭けをするなら・・・全員が別れる方に賭けて、賭けが成立しないでしょう。