プレゼント
- 2016年11月21日
久しぶりに会った友人が、素敵な腕時計をしていました。
その高級腕時計を褒めると、彼から貰ったのだと言います。
確か、聞き直すほど年下の男性と付き合っていると言っていたので、彼は相当頑張ってその腕時計をプレゼントしたのではないかと推測されました。
そういえば・・・彼女は昔からたくさんのプレゼントを貰う人でした。
美人であるというのが、その理由だろうと思われました。
さらにねだるのが上手なんだろうなぁとも思っていました。
と、急に思い出された光景がありました。
それはクリスマス会と称した集まり。
1人千円以内のプレゼントを用意することが求められました。
それをくじ引きで交換するというのです。
予算が千円ですから、それほどたいしたものが買えるわけじゃない。
当然貰えるものも、たいしたものじゃない。
それでもそのプレゼント交換は大変盛り上がりました。
彼女が貰ったのは、蛍光色のウールの手袋。
非情に残念なプレゼントと言えるのではないでしょうか。
素敵なモノでない場合、ウケるモノにして貰わないと、どんなリアクションをしたらいいか困るからです。
ところが彼女はとても喜んで、両手にはめて皆に自慢するように披露していました。
さらに「これで夜、車に轢かれなくて済むわ」などど、私が思いも付かなかった長所を見つけていたりする。
その喜び方はとても自然で嫌味な感じはない。
思わず「女優だな」と私が呟くほどの演技力。
その手袋を贈った人が誰だったのかもう覚えていないのですが、彼女の喜ぶ姿を見て、さぞかし満足したことでしょう。
彼女はねだるのが上手なのではなく、喜ぶのが上手だったんですね。
だから彼女の喜ぶ様子を見たい人が、プレゼントを贈るのでしょう。
彼女がボーイフレンドだけじゃなく、職場の人や、取り引き先の人や、習い事の仲間からたくさんのプレゼントを貰ってきたのには、理由があったんですね。
蛍光色のウールの手袋を貰った時の喜び方は見事だったと私が言うと、彼女はきょとんとした顔をしました。
彼女はまったく覚えていなかったのです。
「夜、車に轢かれなくて済むとまでコメントしていたよ」と私が言うと、「そんなこと言ってたぁ?」と大笑いしていました。
彼女にとっては記憶するまでのことではなかったんでしょうかね。