編み物
- 2017年06月19日
30年ぐらい前の話です。
いつも素敵なニットを着ている友人がいました。
私が褒めたところ、友人のお母さんが自宅で編み物教室を開いていると教えてくれました。
昔は自宅で編み物教室を開くお母さんが結構いたもんです。
記憶を辿ってみると・・・我が家にも編み機がありました。
若い方は編み機といっても、ピンとこないかもしれませんね。
我が家にあったのは幅が1メートルぐらいのものでした。
小さいかぎ針がびっしり並んでいて、そこをアイロンぐらいの大きさの機械が右に左に動く度、毛糸がそのかぎ針に引っかかって編んでいきます。
アイロンぐらいの大きさの機械は自動では動いてくれないので、自ら取っ手を摑んで右に左に動かさなくてはいけない。
どこから出る音なのか、ガーガーという作業音がしていました。
繊細で緻密な作業が必要なのか、それを母が動かしている時話し掛けてはいけないというルールが我が家にはありました。
何故我が家に編み機があったのか。
恐らく当時それは珍しいものではなく、家庭に普及していたのではないでしょうか。
そういえばミシンもありました。
買うよりも作る方が安かったり、丈夫だったりしたのかもしれませんね。
着るものを自分で作っていた時代・・・不器用な女の人にとってはさぞかし生き辛い時代だったでしょう。
この時代に大人じゃなくて良かった。
あの家の人はいつも変な服を着ている・・・と家族全員が後ろ指を指されるような目に、私なら遭わせていたことでしょう。
あの編み機は今どこに?
我が家から編み機が消えたのがいつだったのか、なにがきっかけだったのかまったく記憶にありません。
私が知らない間に物凄い進化を遂げ、3D的な編み方になっていたりするのでしょうか。
パソコンレスキュー隊を呼んで、トラブルを解消して貰った時のこと。
その隊員はあっという間に問題を解決。
時間が余ってしまったためでしょう。
「なにか聞きたいことはありませんか?」と言いました。
突然の申し出になにも思いつかず、しばし無言。
やっとのことで浮かんだ質問は「プリンターを新しくしようと考えているのですが、お勧めはありますか?」というものでした。
すると隊員が口にしたのは予想外のメーカー名。
それは編み機で有名だったメーカーでした。
編み機では知っていましたが、プリンターを作っているとは初耳。
「編み機の?」と私が聞き返すと、「そうです」と隊員は言う。
編み機の機能とプリンターの機能は近い部分があると隊員は言うのですが、私の頭には「?」マークがたくさん浮かぶのみ。
隊員は色々と説明してくれましたが、私には理解できませんでした。
それから2年後。
ようやくプリンターを新しくすることになり、数ある候補の中から選んだのは、編み機のメーカーのものでした。
それまでのと比べて印刷速度がメッチャ速いのと、インクが全然減らないことにびっくりしています。
未だに編み機の機能とプリンターの機能の近さについては、皆目わからないままですが。