花の価格
- 2017年06月26日
以前住んでいた部屋の近くに花屋がありました。
駅前にあり50平米ほどの店。
ここの花はとにかく安かった。
200円で10本ぐらい買える。
フツーの花屋だと、多くの花は温度調節したガラスケースの中に鎮座している。
そのガラス越しに眺め「赤いガーベラを〇本ください」とか「友人へのプレゼントで予算が〇円なんです」と店員に要望を出しますね。
すると店員がガラスケースを開けて、花束を作ってくれたりする。
近所にあったこの花屋は違っていました。
殺風景な店にガラスケースはありません。
たくさんバケツが並んでいて、そこに花がバサッと入っている。
1本単位で売っているものはなく、3~5本で1束になっていました。
仕入れの仕方が特殊なのか、日によって花の品揃えにはバラつきがありました。
例えばフツーの花屋であれば、赤いバラや白いユリは必ず用意してあるでしょうが、この店では今日はバラはないとか、オレンジ色のユリが大量にあるといった、偏りのある品揃えのことが多々ありました。
客は並んでいる花の中から欲しいものを選び、バケツから引っ張り上げると、自らレジまで運ぶ。
何種類か買った時はそれをひとまとめにしてくれますが、そうでなければラッピングはなし。
プレゼントにしたければ、自分でアレンジメントをしなくてはいけません。
ではあっても潔いまでのコスト削減のお蔭で、安く花を買えるので、客は喜んでこのシステムを受け入れていました。
引っ越しをして今の部屋に移った時、まず探したのは花屋。
全然見つけられず、しばらくしてようやく発見したのは、自宅から徒歩15分のところにある、スーパーの中に店を出している花屋でした。
ガラスケースの中に花が並んでいるのを見た時、嫌な予感でいっぱいに。
プライスカードを見てみると・・・1本で? と大声で聞きたくなるような価格が書かれていました。
1本300円ぐらいするのです。
これまで通りのボリュームを求めて10本買ったら3千円。
高いぞ、この3千円のハードルは。
3千円あったら単行本なら2冊買えるし、美術館だったら2回行けるし、映画も2回見られる。
大好きな外郎だってたくさん買える。
花は空間と心を潤してはくれますが2、3日しかもたない。
私の下した結論は・・・そっとガラスケースから離れることでした。
その後この花屋とは別方向にもう1軒見つけたのですが、こちらも同じくらいの価格でした。
いろんなタイプの花屋があったらいいのにと思わずにいられません。
えっ? 今どうしてるかって?
プリザーブドフラワーを飾っています。