新刊「諦めない女」が書店に並び始めました。
この執筆には1年以上の時間が掛かりました。
その間ずっと聴いていたのが、ラフマニノフでした。
「ベスト・オブ・ラフマニノフ」というアルバムで、「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18-I.Moderato」や「ヴォカリーズ Op.34」などが収録されたものです。
1つの作品を書く時、小説のイメージと合う1つのアルバムを延々と聴き続けます。
つまり1年以上1つのアルバムを聴き続けたということで、よく「飽きない?」と聞かれます。
飽きません。
フツーに音楽を聴くだけなら勿論飽きるでしょうが、小説を執筆中にかける音楽はちょっと違う位置づけになります。
音楽というよりは、その小説の世界にある空気のような存在になるのです。
キャラクターたちは、その空気を吸いながら暮らしています。
そして無意識。
でもなかったら、キャラクターたちは生きていけない。
小説の中のキャラクターたちと私にだけ必要な空気。
それが執筆中の音楽の役割です。
空気ほどに大事なものですから、執筆に取り掛かる前のアルバム選びは慎重に行います。
時にはアルバム選びに何日もかけることも。
ただ今回は比較的短時間で、ぴったりのアルバムを見つけることができました。
きっかけは、フィギュアスケートの試合をテレビ観戦していた時。
1人の選手が演技を始めました。
その時に使用していた曲が、ラフマニノフの作品でした。
この暗さがいいなと思いました。
それまでラフマニノフという作曲家の名前は知ってはいたけれど、曲については未知。
そこでアルバムを購入してみることに。
未知過ぎてなにを買ったらいいのかわからず困りましたが「ベスト・オブ・ラフマニノフ」というタイトルのアルバムを見つけ、まずはこれからトライしようと決意。
すると、これがイメージしている作品世界にぴったり。
雨が降る前の空のような、陰鬱な感じ。
厳かな雰囲気と、不穏さが同居しているような音楽。
そしてなんといってもドラマチック。
これよ、これ。
と、このアルバムに決めました。
「諦めない女」を読み終わった時、皆さんの胸の中にはどんなメロディーが奏でられているでしょうか。
訂正があります。
この前のブログで新刊「諦めない女」が17日ぐらいから書店に並び始めると書きましたが、これはフライングでした。
18日の午後から一部の書店で並び始め、19日か20日頃になると、全国の書店で目にすることができるというのが正しいスケジュールでした。
大変失礼いたしました。
この「諦めない女」を読もうと思われた方へお願いがあります。
読後誰かにこの小説の感想を話す時、またSNSなどで発信する時、ネタバレしないようにしていただきたいのです。
「諦めない女」にはいくつかのサプライズがあります。
これを楽しんでいただくためには、予備知識がない方がいいと思うのです。
それじゃ、人に伝えるの難しいじゃん。
とのご意見があろうかと思います。
私も「どういった作品ですか?」と聞かれて、答えに困り「えーと、うーんと、あのー、すみません」と最後には謝ってしまうという状況が続いています。
難しいのです。
ネタバレせずにこの作品を人に伝えるのは。
それでもやはりお願いしたいのです。
このサプライズのために、繊細に物語を進める必要があり、細心の注意を払って執筆しました。
それが、これまでの作品の中で、完成までに掛かった時間が一番長くなった理由でもありました。
であるからこそ作者としては、どうぞネタバレしないようにご配慮をとお願いしたくなるのです。
そこで、まずは有無を言わさずに「読んで」と発信し、その後読み終わった方同士で、感想などを心ゆくまで語り合うというので、どうでしょう。
「諦めない女」という物語の世界を味わっていただきたいと願っている作者からのお願いでした。

発売まであと少し。
今しばらくお待ちくださいませ。
右手の小指を火傷してしまいました。
今朝のことです。
朝食時はパンを焼くのですが、我が家はポップアップ式のトースターを使用しています。
ポンと出てきたトーストが、焦げるギリギリぐらいの状態でした。
これはもうちょっと焼きを抑えたいと思い、加減を調整するつまみに手を伸ばした時、小指がトースターに触れてしまい、火傷する羽目に。
トースターがこんなに熱くなっているとは知らなかった。
というか、そもそもこのトースターを使い始めてから6、7年経つのに、未だに丁度いい焼き加減になったことがない点に目を向けるべきでしょうか。
いつも6枚切りの食パンを投入します。
が、この6枚切りというのが曲者でして。
以前もこのブログで書いたのですが、牛乳や卵を一切使っていない食パンを、ネット注文して取り寄せています。
1斤を何枚切りにするかは選べるので、いつも6枚切りを選択しているのですが、作業者の力量によるのか、機械のせいなのか微妙に厚みが違う。
ここに問題点がある。
が、それぐらいの誤差はトースターに受け止めて欲しいと思うのです。
こっちは匠の技をもった職人じゃない。
食パンを投入したら適度な焼き加減で出てきて欲しい。
ふむ。今日はこの厚みか、よし、つまみを弱くしよう。だがほんの少しだ。指先の感覚を研ぎ澄ましてつまみに触れる。そしてごくごく僅かに左に回す・・・。
なんてことが朝っぱらからできるかっちゅう話なのです。
繊細過ぎるトースターと付き合いきれないってぇの。
新刊「諦めない女」の執筆が予定より遥かに遅れていた時、言い訳のネタの在庫が尽きてしまいました。
そこで別の出版社の編集者に「締め切りに遅れた作家が繰り出す言い訳のなかで、これまでで面白かったのってどんなの?」と聞いてみると、「指が痛いっていうのがありましたね。あれはウケました」と返答が。
今私はホントーに小指が痛いのですが、これを言い訳にしたらウケ狙いと思われてしまうのでしょうか。
証拠として、赤くなっている小指の写真を撮っておいた方がいいでしょうか。
その時、どうして火傷をしたのかといった理由も話した方がいいのでしょうか。
我が家のトースターの繊細さについても語るべきでしょうか。
そんなことをあれこれ考えてる暇があったら、原稿書けやとの声が聞こえてきそうなので、今日はこの辺で。
新刊が出ます。
タイトルは「諦めない女」。
女シリーズ「嫌な女」「我慢ならない女」に続く第3弾になります。
見本が一足先に手元に届き、今はほっとしています。

発売前なので、敢えて装丁が見えないように写真を撮ってみました。
執筆をしている間ずっと悩み迷っています。
執筆を終えると編集者に読んで貰い、意見を聞き直し作業をします。
それでもこれでいいのかという迷いは消えません。
やがて装丁のデザインを決める段階に。
この期に及んでもなお迷いは消えず、不安は募るばかり。
そんな気持ちをよそに、新作の発売に向けて着々と業務は進んでいきます。
そして発売前一足先に見本が届きます。
見本を手にした時、とにかくここまで来たんだなと少しだけほっとします。
書いている時はゴールまで辿り着けるのか不安いっぱいでしたが、取り敢えず本という形にできたことに感慨を覚えるのです。
が、ほっとするのはこの瞬間だけ。
読者はどんな感想をもったのだろうかと、また違う不安に襲われてしまうので。
「諦めない女」は早いところでは17日ぐらいから書店に並び始める予定です。
スーパーで買い物中ちょっと目を離した隙に、娘がいなくなります。
娘は生きていると信じて捜し歩く母親。
時が経つうち、結束していたはずの家族に綻びが。
・・・といった作品です。
あまりにざっくりした作品紹介で、全然わからんわ、といった声が聞こえてきそうですが、ネタバレしないようにと考えるとこれが限界でして。
この作品の場合は、とにかく読んでみてくださいとお願いするしかないのです。
悪しからず。
物語の構成上繊細に慎重に書き進めなくてはならず、神経を使いました。
約束した期限に原稿が終わらず、毎月のように編集者から進捗状況を確かめるメールが。
原稿が遅れている理由を捻り出しては、返信メールをしていたのですが、やがて言い訳の在庫が切れる。
こうなったら「宇宙船に乗せられて、身体検査を受けていた」といったアバンギャルドではありながらも定番な言い訳で、なんとか凌ぐしかないのかと思ったことも。
そうして苦労しながらも、なんとか書き終えた作品です。
発売まであと少し。
今しばらくお待ちくださいませ。