趣味を
- 2018年01月11日
趣味をもてと人は言う。
人生が豊かになるし、生活に張り合いが出るし、友人ができるだろうと。
そうでしょうとも。
がしかし、それはあくまでも、ほどほどに熱中した場合のこと。
そのはまり具合によっては家庭内で孤立したり、夫婦喧嘩の原因になったりもする。
友人A子の夫、B男の場合は・・・。
忠臣蔵が好きだというのです。
5年ぐらい前にたまたま忠臣蔵のテレビドラマを見たそうで、その時号泣したとか。
皆様ご存知の通り忠臣蔵は物語のタイトルです。
赤穂浪士の仇討をテーマにしたものは、歌舞伎や浄瑠璃、映画や小説などにおいて、ひっくるめて忠臣蔵と呼ばれます。
B男はそれまでも忠臣蔵の話を知ってはいたが、なんとも思っていなかった。
それが5年前のある日、忠臣蔵が彼の胸に突き刺さってきた。
それから時代劇のDVDを集め始め、関連本を買い、忠臣蔵をテーマにしている舞台を観に行くように。
A子が言うには、忠臣蔵を題材とした作品は物凄い数があるそうで。
あっという間にDVDや本はコレクションと呼べるぐらいになったとのこと。
平日の帰宅後にそうしたものを1人で鑑賞しては、毎度泣く。
そして休日にはこれまた1人で舞台鑑賞に行ってしまう。
文句を言うと、それじゃ一緒に行こうと誘われて、何回か観劇にA子も参加。
が、どれも忠臣蔵がテーマなので、登場人物も、そのキャラも、結末もわかっているから、全然楽しめないとA子は言う。
なのに隣のB男は毎回目に涙をいっぱい溜めて、感動しているのだとか。
A子はもう誘わないでと宣言し、B男は放置することに。
やがてB男は同じように忠臣蔵に惹かれる愛好家たちと知り合い、映画などで赤穂浪士たちが討ち入りの際に着ているのと同じデザインの和服で、居酒屋に集まったりしているそう。
B男は毎日楽しそうで忙しそう。
なのに夫婦の間では会話らしきものがどんどん減っているそうで、それがA子は気に入らない。
B男を放置すると決めたものの、幸せそうなのが癪に障ると言うA子。
こうなったら自分も夢中になれる趣味を探そうと動いたようですが・・・なかなか見つからないと嘆いていました。
どんな趣味でもいいけれど、それに対する熱中が、周りから応援して貰える程度におさまるといいのですが。